『一夜の博物館』
四つに仕切られた箱のような物に、それぞれ(手)(果実)(石)(刻まれた模様のある紙に隠蔽された闇)が展示されている。
手、は《労働・生産》の象徴ではないかと思われる。(罪だろうか)切り落とされた手は(死)をも意味する。
果実、は有機物《生命の糧》。(生命・知恵の実とも)
石、は無機質であり、《生命活動にかかわらないが、原初から在るもの》
刻まれた紙は折り畳んで切り込みを入れられている。転写のイメージが生命体の連続・連鎖(遺伝子情報)だとしたら、ここは生物の誕生からの秘密のルートが隠されているものと思われる。
『一夜の博物館』は、束の間の幻想(過去)である。
博物館というのは過去の資料を蒐集・展示するものであれば、人類の歴史ということだろうか。右下の切り込みから果たして真実が見えるのだろうか。目を凝らしても見えない遥かな深淵たる人類の時間の経由。
有機・無機に助けられる生命活動の継続。
喜怒哀楽それぞれをイメージさせるかの切込み模様の紙片に隠された箱の中に納まりきれるはずもない膨大な時間。
この博物館は奥が深すぎて、真実にたどり着けない内に夜が明けてしまうというものである。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
入口にはいつもの魚屋があつて、塩鮭のきたない俵だの、くしゃくしやになつた鰯のつらだのが台にのり、軒には赤ぐろいゆで章魚が、五つつるしてありました。その章魚を、もうつくづくと山男はながめたのです。
☆新しい講(話)は語(言葉)を憶(思いめぐらすと)、掩(隠した)計(図りごと)が表れる。
それでも、わたしたちは、従僕たちから離れませんでしたわたしにとっては、一家のためにすこしでも役にたつことをお城でしようとおもっても、これ以外にできることがなかったからです。
☆それでもわたしはその近くに留まりました。お城(本当の死)では、わたしたちのために生じさせる他の異なる小舟の可能性があったからです。