続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『お尋ね者/賞金2.000ドル』

2017-12-02 07:05:16 | 美術ノート

 『お尋ね者/賞金2.000ドル』
 (修正レディ・メイド:ポスターに写真コラージュ)

 賞金2.000ドル(20万~)は安くて、捕まえる(探す)のに熱心になれない金額である。
 男の顔写真、しかしジョージだったりブルだったりと名前も職業も体重・身長もアバウトであり、しまいには女性名(ローズ・セラヴィ)と記されている。
 曖昧、捉えどころのない一般的な特徴の記載、男女の差異も不明らしい人物。
〈この者を捕らえよ〉という指令である。

 この通告、確かにこういう者はいるだろうが、不特定多数の類似者が目されることは必至であり、決定的な所見に欠けている。あなたかもしれないし、わたしかもしれないというユルイ領域である。
 捉えるべき《悪》の因果もない。
《逮捕せよ》という指令によって生じる見えない《線》、社会的空間に生じる探索の眼差しという関係性。無と思える空間に張り巡らされる精神的な方向性を持つ線の浮上である。


(写真は『DUCHAMP』TASCHENより)


『城』2830。

2017-12-02 06:40:23 | カフカ覚書

そういうわけで出かけてきたのですが、あなたを見つけただけでなく、あそこの娘たちがあんたの言いなりになっているというところまで拝見させていただきましたよ。とくにあの黒っぽいほうの娘、あの正真正銘の山猫ときたら、あなたに入れあげていましたね。


☆わたしもそうですが、あなたを見ただけでなく、あなたの後に続くここの娘(霊媒)を見ることができました。とくに悲しい荒涼たる排他社会的階層は、あなたを任命したのですから。