『所有・雰囲気・振動ー草の侵略及び持物についてⅠ~Ⅴ』
草の侵略? 草(植物)は確かに空間を侵略していると言えるかもしれない。その意味では、存在するものは全て空間(見えない領域)を侵略している。
では丸い穴(欠損)は何だろう?整列あるいは円形に並んだ円筒形の後退・・・雨・風あるいは光の攻撃かも知れない。空間を脅かすものである。
角柱形の筒の突起は? 人為による構築物…やはり空間の侵略物の象徴か・・・。
見えるもの(存在)を通して(貫通)、見えないものを物量に変換している。見えない物は重力を感じさせないが、質感として与えうる衝撃(振動・雰囲気)がある、それを所有しているが、所有しているとは感じさせないのは、現象に対する視覚の生理である。
これら自然の風景が硬質であるのは空間のパラドクス、逆説的な変換による同質の置換である。
(写真は横須賀美術館『若林奮VALLEYS』より)
ひゆう、ぱちつ。
馬車は草地をはなれました。木や藪がけむりのやうにぐらぐらゆれました。
☆真(まこと)を写す総ての字(文字)は黙して捜すこと。
「きみのその話しぶりは、ぼくからもう二度とこわい目に会わされることがないときまっているような口ぶりだな。しかし、ほんとうは、そうじゃないんだぞ。きみは、おそらくまだおれから自由になっていないのさ。当地では問題の決定がそんなに早くくだされることはないからな」
☆その話しぶりではもうそうなることはないから全く怖れることはない。でも、それは本当のことではない。