「所有・雰囲気・振動ー森のはずれ」のための模型
森のはずれ、とは平地に接した境目(へり)のことだろうか。
自分の立ち位置から森を見たときのその距離間、時空の揺れ。見えないが感じるだけの形態を物量に置換し変換を図るという作業に断定はない。しかし、こうだろうという曖昧な雰囲気を視覚化する、ある意味驚異的な仕事である。
森のはずれを描き森のはずれの模型を作るのであれば、誰もが納得のいく一致点を見出し肯定する。しかし、森のはずれの形態を消去し残存する見えない時空に目を凝らす試みに、鑑賞者全員が合意を示すことは、むしろ、あり得ない。あくまで個人的感想の域を出ないが感じうる空気に質的変換を図る挑戦なのである。
作品は森のはずれの閉塞感と未知である森の不明を一体化している。森そのものの不明を隠蔽しているのが森のはずれであると。閉じられた森の不明は眼差しの限界によって閉じられているだけの不明である。
(写真は横須賀美術館『若林奮VALLEYS』より)
一郎は黄金のドングリを見、やまねこはとぼけたかほつきで、遠くをみてゐました。
☆逸(隠れた)糧(物事を養い育て支えるのに必要なもの)は、講(話)の源であるが掩(隠している)。
「ときにはな。しかし、どこから見ても、この場合もそうだということは言えまい。すくなくとも、きみもおれも、文書による決定はまだ受けとっていないからな。
☆しかし、まだわたしから自由になっていない。果たすべき任務を早く見つけることだ、ここにきみの場所はないから。