6月30日のNY為替市場でドルが売られ、1ユーロ=1.2729ドル、1ドル=114.43円で取引された。ドルはその他通貨でも売られ、1ドル=1.2226スイスフラン、1英ポンド=1.8477ドルで取引された。
ドルは、このところ米国での利上げ継続観測から売られていたエマージング市場の通貨が、米国の利上げ打ち止め観測の強まりを材料に、一斉に買い戻された。FOMC声明文の発表の後、1~3月期の米GDP価格指数が予測の3.3%から3.1%へ下方修正され、昨年10~12月の3.5%を下回ったこともドル売り材料に使われた。
ブラジル・レアルは前日の2.2188レアルから2.1711レアルへ値上がりした。メキシコぺペソも11.4181ペソから11.3058ペソへ値上がりした。2年来の安値をつけていたNZドルは59.66セントから60.44セントへ値上がりした。カナダドル、豪州ドルも共に値上がりした。
6月29日の米FOMCでFFレートを0.25%上げ5.25%と決めた。しかし、同時に発表された声明文のなかで、インフレ懸念よりも景気鈍化をより警戒する文言をいれ、あわせて追加利上げを示唆する文言を落としたことから、マーケットは利上げ打ち止めが近いと読み、ドル売りを加速させた。
一方、ECB(欧州中央銀行)高官が8月開催予定の会合で利上げの可能性を示唆したことが、米利上げ打ち止めと欧州では利上げとなれば、米欧の金利差が狭まるとの思惑からドル売りユーロ買いが進んだとWSJ紙は伝えた。
ドル売りは対円でも進んだ。日銀総裁が村上ファンドのからみで日銀の金融政策の方向感がでない。しかし、週明け発表が予定されている日銀短観で強いデータが出れば、7月13~14日開催予定の日銀政策決定会議で念願のゼロ金利解除を発表するだろう。これはドル売り・円買いの材料だと外国人アナリストの見方をWSJ紙は紹介している。
ただ、日本人の常識からすれば、7月であれ8月であれ、ゼロ金利解除があってもお湿り程度でお茶を濁す可能性は十分考えられる。日本という国は体質的に煮え切らない国である。ゼロ金利を解除したという実績だけ残す。外国人にはなかなか分かり難い点であろう。
日本トップの銀行が定期預金・年利4.0%キャンペーンを始めた。ところが3ヶ月満期と書いてある。これがペテンといわずしてなにがペテンか。一年定期で計算すれば手数料を払うと赤が出る。銀行を救済するためにゼロ金利を飲まされた。銀行は巨額の利益を上げているが預金金利は動かない。日銀総裁の投資行動が無言で庶民に教えてくれている。(了)
江嵜企画代表・Ken