相場は人のこころの鏡である。相場が上がりたがっているときは実態を無視して値上がりする。逆に相場が下がりたがっているときは往々にして悪材料にのみ過剰に反応して値下がりする。事実は中ほどにあるのだろうが相場の世界には行き過ぎがつきものである。
7月25日、NYダウは前日の212ドル高のあとにもかかわらず52ドル値上がりして11,103ドルで取引を終了した。原油先物(WTI)相場がバレル1.30ドル下げ73.75ドルで取引されたことを株式市場は好感した。イスラエル・レバノン紛争が中東全域を巻き込んだ全面戦争には発展しないとの思惑も買い材料を助けたようだ。
しかし、事態が根本的に改善した兆候は見られない。中東紛争は14日目を迎えた。ライス米国務長官は精力的に事態沈静化に動いていると報じられているが、レバノン市街では相変わらず爆発が続いている。中東紛争の根っこにはユダヤ人対アラブ人の民族的対立や宗教上の確執が存在している。特に日本人が軽々に立ち入れるような世界ではなさそうだ。
原油相場も74ドル割れとマーケットは好感している。しかし、75ドルの石油をまだ割安とマーケットが評価している。石油需要が衰える兆しを全く見せていないことを背景に2007年には100ドル原油時代到来となんのこだわりもなく投機家ははやしたてている。一時的に利益確定の売りが出て値段が下がっただけで先安の保証はなにもない。
一方、米債券相場は、米住宅データと消費者信頼感指数が予想より強く出たことで値下がり、米10年物国債の利回りは5.071%へ上昇した。NY為替市場でも景気堅調を裏付ける比較的強いデータが出たことを材料にドルが買われ、1ドル=117.17円、1ユーロ=1.2576ドルで取引された。
中国が保有外貨のドル持ちポジションを減らすとの中国通貨当局の発表や人民元切り上げ情報からドルの弱材料に使われていた。同じ器でも惚れて眺めるとよく見える。偽物だと思って見ているといかにも値打ちが無いように見えるから不思議である。
6月の米住宅販売件数は1.3%減少し年662万件と商務省は発表した。エコノミストは660万件と予測していた。消費者信頼感指数のひとつのConference Board indexが6月の105.4から106.5へ上昇した。エコノミストの予測は104であったと強材料に利用した。
2006年4~6月期の米企業業績が連日のように発表されているが、好業績の企業もあればそれほどでもない企業もある。まだら模様であることには変わりない。NYダウ年末大幅安との観測も消えていない。雨が一時小止みになったからといって、丸腰で飛び出すと雷に打たれるかもしれない。先の見え難い時代に生きていることだけは確かなようだ。(了)
江嵜企画代表・Ken
7月25日、NYダウは前日の212ドル高のあとにもかかわらず52ドル値上がりして11,103ドルで取引を終了した。原油先物(WTI)相場がバレル1.30ドル下げ73.75ドルで取引されたことを株式市場は好感した。イスラエル・レバノン紛争が中東全域を巻き込んだ全面戦争には発展しないとの思惑も買い材料を助けたようだ。
しかし、事態が根本的に改善した兆候は見られない。中東紛争は14日目を迎えた。ライス米国務長官は精力的に事態沈静化に動いていると報じられているが、レバノン市街では相変わらず爆発が続いている。中東紛争の根っこにはユダヤ人対アラブ人の民族的対立や宗教上の確執が存在している。特に日本人が軽々に立ち入れるような世界ではなさそうだ。
原油相場も74ドル割れとマーケットは好感している。しかし、75ドルの石油をまだ割安とマーケットが評価している。石油需要が衰える兆しを全く見せていないことを背景に2007年には100ドル原油時代到来となんのこだわりもなく投機家ははやしたてている。一時的に利益確定の売りが出て値段が下がっただけで先安の保証はなにもない。
一方、米債券相場は、米住宅データと消費者信頼感指数が予想より強く出たことで値下がり、米10年物国債の利回りは5.071%へ上昇した。NY為替市場でも景気堅調を裏付ける比較的強いデータが出たことを材料にドルが買われ、1ドル=117.17円、1ユーロ=1.2576ドルで取引された。
中国が保有外貨のドル持ちポジションを減らすとの中国通貨当局の発表や人民元切り上げ情報からドルの弱材料に使われていた。同じ器でも惚れて眺めるとよく見える。偽物だと思って見ているといかにも値打ちが無いように見えるから不思議である。
6月の米住宅販売件数は1.3%減少し年662万件と商務省は発表した。エコノミストは660万件と予測していた。消費者信頼感指数のひとつのConference Board indexが6月の105.4から106.5へ上昇した。エコノミストの予測は104であったと強材料に利用した。
2006年4~6月期の米企業業績が連日のように発表されているが、好業績の企業もあればそれほどでもない企業もある。まだら模様であることには変わりない。NYダウ年末大幅安との観測も消えていない。雨が一時小止みになったからといって、丸腰で飛び出すと雷に打たれるかもしれない。先の見え難い時代に生きていることだけは確かなようだ。(了)
江嵜企画代表・Ken