サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が、OPECの日量100万バレルの減産を支持し必要とあれば12月に再度会合を開くと明言したことで、10月19日のNY原油先物相場はバレル85セント値上がりし58.50ドルで取引された。
これはもう当たり前の話である。OPEC加盟国の生産枠が2800万、そのうち1000万がサウジアである。そのサウジが減産を明言しなかった。その結果、他の加盟国に動揺が広がり、ずるずると値を下げ、おまけにOPECの権威そのものが失墜する危険性まで出ていた。
OPECが減産を実施すれば2004年12月来初めてのケースとなる。しかし、今朝のWSJ紙によると、一律減産を決めるにしても、加盟国の中では、基点を8月生産にするのか9月末を基点に減産するのかさえ決まっていない。カルテルの中身は一切決まっていない。当のサウジはこのところの原油先物相場の値下がりで既に日量40万バレル減産していたと伝えている。残り60万をその他のメンバーが減産を実行できるかどうかにかかってきた。
相場は全てではないが物知りだ。バレル55ドル程度では原油相場を落ち着かせたいとのOPEC加盟国の腹の底まで見透かしているかのようで興味深い。イラクでの米兵の死者が増え、厭戦ムードが米国で急速に広がっていると今朝のCNBCテレビでも報じていた。イラク問題で政治的解決とのビッグショットが出れば原油相場は一気に値下がりする。
一方、NYダウはもみ合いながらも、終値で前日比19ドル上げ12,011ドルで取引を終了した。ハイテク株主体のナスダック、S&P500種平均も小幅ながら値上がりした。値上がり銘柄数2,033、値上がり1,278がこの日の相場の地合いの底堅さを説明している。
金利がどうなるかを誰も口にしなくなった。原油相場が58ドル台に戻したことも材料にされない。投資家の目はひたすら米企業業績に向かっている。これを見て、WSJ紙のScott Patterson記者は余りにも楽観的に過ぎるのではないかと警告している。
同記者によれば、NYダウは1972年11月に初めて1000ドルを越えた。2000ドルを越えるには1987年1月までかかった。それが1999年3月29日に10,000ドル、1999年5月3日に11,000ドル、その後9:11、イラク戦争、ドットコムバブルいろいろあって現在12,000ドルとなった。ここ4年上げ続けた。下げに転じてもおかしくないと指摘している。
日本では株の話をするといやな顔をする人が多い。お金がお金を生むこと自体を体質的に嫌う。しかしお金はあくまで道具である。使い方、考え方次第で人を変える。あまねく人殺しまでしでかす凶器となることも子供のときから教えておく必要があるだろう。なかでも原油、為替、金利は物差しになる。特に原油の動きには目を離すことは出来ない。(了)
江嵜企画代表・Ken
これはもう当たり前の話である。OPEC加盟国の生産枠が2800万、そのうち1000万がサウジアである。そのサウジが減産を明言しなかった。その結果、他の加盟国に動揺が広がり、ずるずると値を下げ、おまけにOPECの権威そのものが失墜する危険性まで出ていた。
OPECが減産を実施すれば2004年12月来初めてのケースとなる。しかし、今朝のWSJ紙によると、一律減産を決めるにしても、加盟国の中では、基点を8月生産にするのか9月末を基点に減産するのかさえ決まっていない。カルテルの中身は一切決まっていない。当のサウジはこのところの原油先物相場の値下がりで既に日量40万バレル減産していたと伝えている。残り60万をその他のメンバーが減産を実行できるかどうかにかかってきた。
相場は全てではないが物知りだ。バレル55ドル程度では原油相場を落ち着かせたいとのOPEC加盟国の腹の底まで見透かしているかのようで興味深い。イラクでの米兵の死者が増え、厭戦ムードが米国で急速に広がっていると今朝のCNBCテレビでも報じていた。イラク問題で政治的解決とのビッグショットが出れば原油相場は一気に値下がりする。
一方、NYダウはもみ合いながらも、終値で前日比19ドル上げ12,011ドルで取引を終了した。ハイテク株主体のナスダック、S&P500種平均も小幅ながら値上がりした。値上がり銘柄数2,033、値上がり1,278がこの日の相場の地合いの底堅さを説明している。
金利がどうなるかを誰も口にしなくなった。原油相場が58ドル台に戻したことも材料にされない。投資家の目はひたすら米企業業績に向かっている。これを見て、WSJ紙のScott Patterson記者は余りにも楽観的に過ぎるのではないかと警告している。
同記者によれば、NYダウは1972年11月に初めて1000ドルを越えた。2000ドルを越えるには1987年1月までかかった。それが1999年3月29日に10,000ドル、1999年5月3日に11,000ドル、その後9:11、イラク戦争、ドットコムバブルいろいろあって現在12,000ドルとなった。ここ4年上げ続けた。下げに転じてもおかしくないと指摘している。
日本では株の話をするといやな顔をする人が多い。お金がお金を生むこと自体を体質的に嫌う。しかしお金はあくまで道具である。使い方、考え方次第で人を変える。あまねく人殺しまでしでかす凶器となることも子供のときから教えておく必要があるだろう。なかでも原油、為替、金利は物差しになる。特に原油の動きには目を離すことは出来ない。(了)
江嵜企画代表・Ken