カタールで10月19日開催予定のOPEC緊急総会を控えてNY原油先物(WTI)相場がバレル1.25ドル値下がりして、57.60ドルで取引された。相場は物知りだから、今回の総会では大した結論が出ないだろうと先読みを始めた結果に違いない。
今回の緊急総会はこのところの原油相場の急落を受けて、これ以上の値下がりを食い止めるための減産を協議することが目的である。ところが加盟国の中での思惑の違いが日量50万バレルか100万バレルの減産さえ思うように進まないと市場に見抜かれたようだ。
猫に鈴をつけることが必要なことは頭ではわかっている。誰が猫に鈴をつけるかで結論が出ないイソップ物語を地で行っているようなものである。
やれイラク、イランの核問題、さらにはハリケーンが来ると騒いだ。最近は暖冬を材料に原油在庫が増えるとむしろ供給圧力を材料に、売り方ペースでゲームが展開しているようだ。先高を見越して買い込んでいた向きがあわてて売り戻している話もあるようだ。
原油相場は、終わり値での史上最高値77.03ドルまで上げていた。現在の相場は高値から25%前後下げた計算になる。地政学的リスクで押し上げたバレル10ドル前後がバブルだといわれている。泡の部分が剥げれば60ドルだが、55ドル程度まで値下がりすると多くのOPEC加盟国の閣僚は相場の先行きを心配していると今朝のWSJ紙は紹介している。
しかし市場の読みは、世界の原油需要は日量8,400万バレルである。OPEC加盟国の生産枠は日量2,800万バレルであるが、そのうちの50万とか100万減産しても減産の実質的効果は期待できないと見ているのであろう。OPECの権威も地に落ちたものである。
今回の緊急総会でのまとまりの悪さは、クエート、アルジエリア、リビアなど自国に与えられた枠を超えて生産している加盟国とベネズエラ、イラン、インドネシアなど枠内生産国とが同じテーブルについて一律減産は決められないと石油専門家は指摘している。
中国、インドの産油国詣が続いている。世界最大の原油消費国アメリカは口では石油節約を声高に叫ぶが、最近のガソリンの値下がりで消費が回復している。需要に心配がなければ一時的に55ドルまで下げても産油国にはまだまだ気持ちにゆとりがあるとの見方が多い。
一方、米労働省発表によれば、米国の9月の消費者物価指数が0.5%低下した。これはガソリン13.5%、灯油6.1%下げが影響した。エネルギー、食料を除いたコアインフレ率は0.2%増加したが想定内。次回FOMCでは5.25%で据え置きと読んだ。NYダウは一時12,049ドルをつけたあと、前日比42ドル高、史上最高値の11,992ドルで取引を終了した。(了)
江嵜企画代表・Ken
今回の緊急総会はこのところの原油相場の急落を受けて、これ以上の値下がりを食い止めるための減産を協議することが目的である。ところが加盟国の中での思惑の違いが日量50万バレルか100万バレルの減産さえ思うように進まないと市場に見抜かれたようだ。
猫に鈴をつけることが必要なことは頭ではわかっている。誰が猫に鈴をつけるかで結論が出ないイソップ物語を地で行っているようなものである。
やれイラク、イランの核問題、さらにはハリケーンが来ると騒いだ。最近は暖冬を材料に原油在庫が増えるとむしろ供給圧力を材料に、売り方ペースでゲームが展開しているようだ。先高を見越して買い込んでいた向きがあわてて売り戻している話もあるようだ。
原油相場は、終わり値での史上最高値77.03ドルまで上げていた。現在の相場は高値から25%前後下げた計算になる。地政学的リスクで押し上げたバレル10ドル前後がバブルだといわれている。泡の部分が剥げれば60ドルだが、55ドル程度まで値下がりすると多くのOPEC加盟国の閣僚は相場の先行きを心配していると今朝のWSJ紙は紹介している。
しかし市場の読みは、世界の原油需要は日量8,400万バレルである。OPEC加盟国の生産枠は日量2,800万バレルであるが、そのうちの50万とか100万減産しても減産の実質的効果は期待できないと見ているのであろう。OPECの権威も地に落ちたものである。
今回の緊急総会でのまとまりの悪さは、クエート、アルジエリア、リビアなど自国に与えられた枠を超えて生産している加盟国とベネズエラ、イラン、インドネシアなど枠内生産国とが同じテーブルについて一律減産は決められないと石油専門家は指摘している。
中国、インドの産油国詣が続いている。世界最大の原油消費国アメリカは口では石油節約を声高に叫ぶが、最近のガソリンの値下がりで消費が回復している。需要に心配がなければ一時的に55ドルまで下げても産油国にはまだまだ気持ちにゆとりがあるとの見方が多い。
一方、米労働省発表によれば、米国の9月の消費者物価指数が0.5%低下した。これはガソリン13.5%、灯油6.1%下げが影響した。エネルギー、食料を除いたコアインフレ率は0.2%増加したが想定内。次回FOMCでは5.25%で据え置きと読んだ。NYダウは一時12,049ドルをつけたあと、前日比42ドル高、史上最高値の11,992ドルで取引を終了した。(了)
江嵜企画代表・Ken