10月20日、OPEC加盟国はイラクを除き、現行生産実績ベースから日量120万バレル減産し11月1日から実施すると発表した。しかし、10月20日のNY原油先物市場では、11月物WTI相場は、バレル1.68ドル値下がりして56.82ドルで取引された。
減産幅の大方の予測は日量100バレルであった。減産幅を20バレル上乗せしてサプライズ効果をねらったようだが、市場は値下がりで答えた。今回のOPECの結論に対して実質的な減産効果にマーケットが疑問符をつきつけた証拠であろう。
相場の世界で常に起こることであるが、上げ相場のときは放置しても相場自身が上がりたがっているとひとりでに上がるものである。ところが相場が下がりたがっているときはいくら人為的な小手先の手を打っても効果がないことを分かり易く教えてくれた。
馬を川のそばまで連れてくることは出来ても馬に水を飲ますことは出来ない。馬(マーケット)が水(減産決定)を飲む気がない限り相場を上げることは難しいことを示している。
第一の疑問は全体の減産幅である120万バレルをどこにいくら分配するかについて実効性ある方法はあるか。それを誰が決めるのか。どう検証できるのか。誰も確認できない。結局最大生産国のサウジアラビアが責任をもって断固減産するかどうかであろう。
世界の原油需要は日量8,400万バレルといわれている。120万バレル削っても世界全体の1%に過ぎない。相場が上がるときはマスコミに発表する前に既に上がり始めている。相場が下がるときには新聞にいくら値上げを発表しても相場が上がったためしがない。
相場の世界では余りものに値なしということばがある。腹がもたれていると食べたくならない。在庫が増えているときは値段は下がり易い。腹が空けばひとりでにエサに手が延びる。世界景気が2007年にかけて鈍化するとの予測の中ではどうしても値上げは不利である。
それでもOPECが減産の道を選んだことはよほど今回の77ドルから56ドル台への相場急落が堪えたのであろう。イランでの核問題が沈静化し、期待したハリケーンは来ない、おまけに暖冬予測。非OPEC産油国の増産の話も出てきた。中国、インドでの根強い需要が続いていることは誰一人否定しない。にもかかわらず原油相場は下げ足を早めた。虎の子の原油、太平を謳歌した2年の後の急落で、OPEC加盟国は大いにあわてたのであろう。
世界的な金余り現象が続くなか、ヘッジファンドの動きが相場に与える影響は大きいと指摘する専門家は多い。10月20日、NYダウは9ドル下げたが株式相場の先行きに強気が増えてきた。原油から株・債券への金の流れをヘッジファンドが支えているようだ。(了)
江嵜企画代表・Ken
減産幅の大方の予測は日量100バレルであった。減産幅を20バレル上乗せしてサプライズ効果をねらったようだが、市場は値下がりで答えた。今回のOPECの結論に対して実質的な減産効果にマーケットが疑問符をつきつけた証拠であろう。
相場の世界で常に起こることであるが、上げ相場のときは放置しても相場自身が上がりたがっているとひとりでに上がるものである。ところが相場が下がりたがっているときはいくら人為的な小手先の手を打っても効果がないことを分かり易く教えてくれた。
馬を川のそばまで連れてくることは出来ても馬に水を飲ますことは出来ない。馬(マーケット)が水(減産決定)を飲む気がない限り相場を上げることは難しいことを示している。
第一の疑問は全体の減産幅である120万バレルをどこにいくら分配するかについて実効性ある方法はあるか。それを誰が決めるのか。どう検証できるのか。誰も確認できない。結局最大生産国のサウジアラビアが責任をもって断固減産するかどうかであろう。
世界の原油需要は日量8,400万バレルといわれている。120万バレル削っても世界全体の1%に過ぎない。相場が上がるときはマスコミに発表する前に既に上がり始めている。相場が下がるときには新聞にいくら値上げを発表しても相場が上がったためしがない。
相場の世界では余りものに値なしということばがある。腹がもたれていると食べたくならない。在庫が増えているときは値段は下がり易い。腹が空けばひとりでにエサに手が延びる。世界景気が2007年にかけて鈍化するとの予測の中ではどうしても値上げは不利である。
それでもOPECが減産の道を選んだことはよほど今回の77ドルから56ドル台への相場急落が堪えたのであろう。イランでの核問題が沈静化し、期待したハリケーンは来ない、おまけに暖冬予測。非OPEC産油国の増産の話も出てきた。中国、インドでの根強い需要が続いていることは誰一人否定しない。にもかかわらず原油相場は下げ足を早めた。虎の子の原油、太平を謳歌した2年の後の急落で、OPEC加盟国は大いにあわてたのであろう。
世界的な金余り現象が続くなか、ヘッジファンドの動きが相場に与える影響は大きいと指摘する専門家は多い。10月20日、NYダウは9ドル下げたが株式相場の先行きに強気が増えてきた。原油から株・債券への金の流れをヘッジファンドが支えているようだ。(了)
江嵜企画代表・Ken