ある大手証券会社主催のセミナーが京セラドーム大阪で
開かれリチャード・クー氏の講演を一年ぶりで聞いた。
クーさんは、待ちに待った、15年間持ち望んでいた、
本物の景気回復が日本にやってきたと口火を切った。
どういう意味で本物か。それは日本の企業が金利ゼロで
借金返済に奔走するという前例のない異常な状態から
企業家が借金をし、人を取り始め、初任給を上げようと
動き出したからだと説明した。
ただ、企業は前向きに動き出したが、内需が低迷している。
さらに企業に対して、不良債権となった土地を時価会計で
実現損扱いにしたことと7年間損金繰り延べの税制が
足かせとなるリスクを企業が抱えていると解説した。
さらにGDP6%を占める7,000億ドルを越える膨大な
米国の貿易赤字問題が為替リスクとして存在している。
先に開かれたG7では円安問題に米国が乗ってこなかったが、
このままでは収まらないだろうと強調していた。
米国はいまインフレを抑えるために勢力を集中している。
米国は内心住宅バブル崩壊を歓迎しているのもそのためだ。
それくらいいま米国経済は順調だ。しかし、インフレのリスク要因
として、原油相場が先高をシグナルしている。
インフレ収束にある程度メドがつけば、米国はドルを
大幅に下げてくるだろうとクーさんは明快だった。
IMFは、2006年4月、「米ドルを現状の水準から
大幅に下げ、経常黒字国、特にアジア諸国と産油国の
通貨を切り上げることが必要である」と指摘している。
OECDもG7も同じ流れである。
日本のゼロ同然の金利でお金を借りられるために、その結果
住宅バブルが進行している。この傾向は東欧、豪州など世界的
規模で進んでいる。世界の中央銀行はインフレ対策が効き目が
なく頭を抱えていることが今回のG7での問題提起の背景にあった。
日本は資産価格下落で1,500兆円の富を失った。しかし、バブル
崩壊後も財政支出で日本のGDPは拡大した。財政が果たした
役割をわすれてはならないとリチャード・クー氏の持論を展開した。
「陰」の世界から「陽」の世界へ徐々に日本経済は
移りつつあると明るい展望で1時間強の講演を終えた。
会場は講演と展示に二分されていた。いつもどおり老人の姿が目立った。
展示会場には124社がドーム球場の敷地半分にブースを用意して
顧客PRに努めていた。その中には外資系証券会社のドイツ・アセット・
マネジメント、JPモルガン、フィデリティ証券が特別コーナーを設けて
盛んに勧誘していた。
ユーロへの関心の高まりを反映しているのであろう、ドイツ投信の
ブースは満席だった。世界の資産がドルからユーロへ確実に
シフトしている状況を、パネルを使いながらわかりやすく解説していた。
ただ、「為替リスクがあります。専門家でも為替は読めない。むつかしい」と
念を押していたことばが妙に印象に残った。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)
開かれリチャード・クー氏の講演を一年ぶりで聞いた。
クーさんは、待ちに待った、15年間持ち望んでいた、
本物の景気回復が日本にやってきたと口火を切った。
どういう意味で本物か。それは日本の企業が金利ゼロで
借金返済に奔走するという前例のない異常な状態から
企業家が借金をし、人を取り始め、初任給を上げようと
動き出したからだと説明した。
ただ、企業は前向きに動き出したが、内需が低迷している。
さらに企業に対して、不良債権となった土地を時価会計で
実現損扱いにしたことと7年間損金繰り延べの税制が
足かせとなるリスクを企業が抱えていると解説した。
さらにGDP6%を占める7,000億ドルを越える膨大な
米国の貿易赤字問題が為替リスクとして存在している。
先に開かれたG7では円安問題に米国が乗ってこなかったが、
このままでは収まらないだろうと強調していた。
米国はいまインフレを抑えるために勢力を集中している。
米国は内心住宅バブル崩壊を歓迎しているのもそのためだ。
それくらいいま米国経済は順調だ。しかし、インフレのリスク要因
として、原油相場が先高をシグナルしている。
インフレ収束にある程度メドがつけば、米国はドルを
大幅に下げてくるだろうとクーさんは明快だった。
IMFは、2006年4月、「米ドルを現状の水準から
大幅に下げ、経常黒字国、特にアジア諸国と産油国の
通貨を切り上げることが必要である」と指摘している。
OECDもG7も同じ流れである。
日本のゼロ同然の金利でお金を借りられるために、その結果
住宅バブルが進行している。この傾向は東欧、豪州など世界的
規模で進んでいる。世界の中央銀行はインフレ対策が効き目が
なく頭を抱えていることが今回のG7での問題提起の背景にあった。
日本は資産価格下落で1,500兆円の富を失った。しかし、バブル
崩壊後も財政支出で日本のGDPは拡大した。財政が果たした
役割をわすれてはならないとリチャード・クー氏の持論を展開した。
「陰」の世界から「陽」の世界へ徐々に日本経済は
移りつつあると明るい展望で1時間強の講演を終えた。
会場は講演と展示に二分されていた。いつもどおり老人の姿が目立った。
展示会場には124社がドーム球場の敷地半分にブースを用意して
顧客PRに努めていた。その中には外資系証券会社のドイツ・アセット・
マネジメント、JPモルガン、フィデリティ証券が特別コーナーを設けて
盛んに勧誘していた。
ユーロへの関心の高まりを反映しているのであろう、ドイツ投信の
ブースは満席だった。世界の資産がドルからユーロへ確実に
シフトしている状況を、パネルを使いながらわかりやすく解説していた。
ただ、「為替リスクがあります。専門家でも為替は読めない。むつかしい」と
念を押していたことばが妙に印象に残った。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)