母校同窓会風景・ノボテル甲子園
江嵜企画代表・Ken
第20回母校同窓会総会がノボテル甲子園で開催され約300名が参加した。司会はNHK「ニューステラス関西」で活躍中の真下貴アナウンサーが務めた。
第1部は検事総長樋渡利秋氏の講演、第2部は元母校体育の教官でカントリーウエスタンではプロ級の腕前の持ち主の静先生の演奏があり総会を盛り上げた。
樋渡氏は、東京高等検察庁検事長などを経て平成20年7月1日に検事総長に就任された。話題の「裁判員制度」が日本でも来年5月発足することから実にタイムリーな講演となった。
大のタイガースファンだということもご披露があった。日本でも「裁判員制度」が来年はじまる。勿論最後は裁判所が決定するが、もし自分が裁判員に選ばれたら「そのひとがいないと仕事が成功しない」ケースを除き断れない。当然ジョークであるが、「今年の今岡は断れんでしょうな」と分かり易く解説された。
第1部の樋渡氏の講演会風景を講師のご面相がよく見える位置からスケッチした。検事総長と聞くとどうしてもこわもての先入観で見ていた。しかし現実は違った。最後まで柔和な笑みを絶やさず質問者にも横柄な態度は一切見せなかった。法曹界というどちらかといえば素人目には迂遠な世界について、努めて分かり易く話そうとされる氏の誠実さがにじみ出ていた。
講演は中学時代の白い風呂敷を持って夙川堤を通った思い出からはじまった。8月8日90歳でなくなられた中学担任で国語の先生だった村上千秋先生の授業の思い出を懐かしく紹介された。
余談ながら村上千秋先生はご子息が芥川賞作家の村上春樹さんである。村上先生の教え子さんに是非というご家族のご意向で、9月7日、「お別れ会」が京都で開かれる。
学校の思い出を話せと同窓会事務局から頼まれてきたが、せっかくの機会だからと前置きして裁判の話に入られた。話は約1時間で終わったが質疑応答の中身が濃く、同窓会でないとおそらく聞くことができないだろう貴重な話も沢山聞け幸いだった。
裁判の話の枕に使われた「振り込み詐欺」の話は面白かった。関西と関東をくらべると関西は振り込み詐欺にひっかかる人は少ない。ところが「還付金詐欺」といものがあり、「間違いなく返すから」と言われて詐欺にかかる人は関西に多いというエピソードは実に面白かった。
「裁判員制度」は来年5月に始まる。G8で裁判員制度がないのは日本だけだそうだ。日本にも戦前一時期「裁判員制度」があったこともはじめて知った。モンテスキューが「裁判権力はプロに任すべきでない」と語ったという話も初耳だった。
日本以外の国の人には国民の視点がまずある。日本人にはそれが基本的に欠落していると常々思う。モンテスキューの言葉にもその当たりが端的に出ていると大いに納得した。その点でも世界から見れば日本と言う国はご機嫌な国なのかもしれない。
「守秘義務」の話も当然出た。そのあたりになるとさすがの検事総長も微妙な言い回しになった。現実問題として対応はむつかしいのだろう。試行錯誤を経ながら「国民の視点」という日本人の苦手科目を克服しながら実績を積み上げていかざるを得ないのかもしれない。
会場風景のスケッチに真下アナのサインを戴いけたのはラッキーだった。収穫の多い母校同窓会だった。(了)