雑誌『到知』2008年10月号に田中保郎氏(東洋医学研究センター長)が書かれた「心と腸は一体であり、腸が心と関係している」との趣旨の寄稿文を見つけた。植物は根が文字通り根本であるが、人間の根っこは腸であると明言しておられる。
いま話題の認知症には、単純性認知症と、アルツハイマー性認知症の二つがある。脳の劣化により起こるのが前者である。これは大なり少なり歳を取れば誰でも経験する。ところが後者には腸を治すことが大切である。うつ病にも同じことが言えると書いておられた。
もしも木の葉や花が枯れたり、果実が実らなければ庭師は根を診て、「根腐れ」を起こしていないかどうかをまず調べる。人間の根は腸である。腸を治すことが全ての基本となる。
植物の根は、土から水分や養分を吸収する働きをする。人間が水分や養分を吸収しているのは腸である。人間にとって腸が根なのである。世間では脳で全てを考え、人間のからだを動かしていると捉えている。腸が先に生まれて脳が後で出来た。後先を間違えてはいけない。
経済と人間のからだには共通点が多い。たとえば、米国で起こったサブプライムローン問題は暴飲暴食した結果である。値上りを前提に返済出来ないとわかっていてお金を貸した。頭で考えて腸で考えなかった。住宅の値段が下がり続けた結果住宅ローン会社が焦げついた。
米国にファニーメイとフレディマックという住宅金融公社がある。2社が融資ないしは保証している住宅融資残高は5兆ドル(540兆円)に上る。両社の株価は一年前70ドルだった。現在3~4ドルまで暴落している。下手な解説を聞くより株価を見れば分かり易い。
米国の住宅価格は現在進行形で下がり続けている。これは住宅マーケットが「根腐れ」を起こしているからである。2年前ポールセン氏が米財務長官に就任したときファニーメイとフレディマック2社はきれいな花を咲かせていた。住宅の「根腐れ」を見落としたようだ。
原油相場が急落している。余りにも急激な値上りの咎めが出た。昨年1月、WTI相場はバレル50ドルから今年7月にバレル145ドルの史上最高値更新した。現在バレル108ドルである。原油は「根腐れ」を起こしているかどうかが今後のポイントになりそうだ。
金相場は一時トロイオンス1003ドルの史上最高値を更新した。その後860ドル近辺まで戻したが原油急落に引きずられて810ドルまで値下がりした。また、金や原油はドルの反面教師である面もある。ドルが歯止めなく下げる過程で原油、金共値上りした経緯がある。
英国やEUの景況感が7月に一挙に悪化した。特に英ポンドは8月1ヶ月だけで7%対ドルで値下がりした。ユーロも1ユーロ=1.60ドルから現在1.45ドル前後である。原油や金そのものが「根腐れ」を起こしているかどうかに加えてドル相場の動向がカギを握っている。
原油や金からお金が急速に逃げ始めたことがここへ来ての相場の急落を招いている。お金はからだでいえば血液である。お金(血液)の流れが悪くなると値段が下がる〈病気になる〉。もし腸〈マーケット〉が病気であれば、お金をいくら注ぎ込んでも相場は回復しないだろう。
腸が一端やられると回復に時間がかかるといわれている。米国のサブプライム問題は根っ子に住宅問題が存在している。経済も健康も同じで花をCTスキャンやMRIで調べても、「腸」〈住宅市場〉を調べない限り、「花」(米景気)に効く処方は見つからないであろう。住宅の値段が下がり続けている限り、米国景気の本復には時間がかかりそうだ。(了)
いま話題の認知症には、単純性認知症と、アルツハイマー性認知症の二つがある。脳の劣化により起こるのが前者である。これは大なり少なり歳を取れば誰でも経験する。ところが後者には腸を治すことが大切である。うつ病にも同じことが言えると書いておられた。
もしも木の葉や花が枯れたり、果実が実らなければ庭師は根を診て、「根腐れ」を起こしていないかどうかをまず調べる。人間の根は腸である。腸を治すことが全ての基本となる。
植物の根は、土から水分や養分を吸収する働きをする。人間が水分や養分を吸収しているのは腸である。人間にとって腸が根なのである。世間では脳で全てを考え、人間のからだを動かしていると捉えている。腸が先に生まれて脳が後で出来た。後先を間違えてはいけない。
経済と人間のからだには共通点が多い。たとえば、米国で起こったサブプライムローン問題は暴飲暴食した結果である。値上りを前提に返済出来ないとわかっていてお金を貸した。頭で考えて腸で考えなかった。住宅の値段が下がり続けた結果住宅ローン会社が焦げついた。
米国にファニーメイとフレディマックという住宅金融公社がある。2社が融資ないしは保証している住宅融資残高は5兆ドル(540兆円)に上る。両社の株価は一年前70ドルだった。現在3~4ドルまで暴落している。下手な解説を聞くより株価を見れば分かり易い。
米国の住宅価格は現在進行形で下がり続けている。これは住宅マーケットが「根腐れ」を起こしているからである。2年前ポールセン氏が米財務長官に就任したときファニーメイとフレディマック2社はきれいな花を咲かせていた。住宅の「根腐れ」を見落としたようだ。
原油相場が急落している。余りにも急激な値上りの咎めが出た。昨年1月、WTI相場はバレル50ドルから今年7月にバレル145ドルの史上最高値更新した。現在バレル108ドルである。原油は「根腐れ」を起こしているかどうかが今後のポイントになりそうだ。
金相場は一時トロイオンス1003ドルの史上最高値を更新した。その後860ドル近辺まで戻したが原油急落に引きずられて810ドルまで値下がりした。また、金や原油はドルの反面教師である面もある。ドルが歯止めなく下げる過程で原油、金共値上りした経緯がある。
英国やEUの景況感が7月に一挙に悪化した。特に英ポンドは8月1ヶ月だけで7%対ドルで値下がりした。ユーロも1ユーロ=1.60ドルから現在1.45ドル前後である。原油や金そのものが「根腐れ」を起こしているかどうかに加えてドル相場の動向がカギを握っている。
原油や金からお金が急速に逃げ始めたことがここへ来ての相場の急落を招いている。お金はからだでいえば血液である。お金(血液)の流れが悪くなると値段が下がる〈病気になる〉。もし腸〈マーケット〉が病気であれば、お金をいくら注ぎ込んでも相場は回復しないだろう。
腸が一端やられると回復に時間がかかるといわれている。米国のサブプライム問題は根っ子に住宅問題が存在している。経済も健康も同じで花をCTスキャンやMRIで調べても、「腸」〈住宅市場〉を調べない限り、「花」(米景気)に効く処方は見つからないであろう。住宅の値段が下がり続けている限り、米国景気の本復には時間がかかりそうだ。(了)