今朝のWSJ紙によると、ポールソン米財務長官は、米時間日曜日9月7日開いた記者会見で、ファニー・メイ、フレディ・マック2社に優先株を買い取る形で、2000億ドル(21兆6,000億円)の政府資金を投入すると述べ、FHFA(Federal Housing Finance Agency)(連邦住宅金融局)の監督下に置くと発表したと報じた。
WSJ紙の記事は、James R.Hagerty記者とRuth Siomon 記者連名でA4サイズ9枚にまとめられていた。日本の金融機関も上記2社に大きく関わっているはずにもかかわらず、消化不良なのか、何らかの思惑があるのか、日本メディアの扱いは、なぜか小さい。
米財務省は上記2社の発行した住宅ローンに関連した株式をただちに10億ドル(1,080億円)買い取る。全体の買い上げ額を現時点では明示していない。米FRBが短期の目標金利を2.0%まで引き下げたにもかかわらず住宅ローン金利は年率6.0%を優に上回ったまま推移していた。
今回の株式買取で、ローン金利を引き下げて住宅購入者のコストを下げる効果はある。公開株及び優先株の配当も無配となる。その結果、2社は20億ドル〈2,160億円〉節約出来るとWSJ紙は説明している。
両社の赤字の50%以上は今年4~6月間に発生した。Alt-Aタイプローンという借り手の所得もしくは資産内容を100%提出せずに借りられる。ファニー・メイの赤字の47%、フレディ・マックの67%はカリフォルニア、フロリダ、アリゾナ、ネブラスカで発生した。
ファニー・メイビズネスの29%、フレディ・マックの16%はCountrywide Finantial Corpという住宅ローン業界で最悪の金融機関と関係していた。同社は現在、バンク・オブ・アメリカに吸収されて存在しない。
両社は2007年から2008年にかけて、サブプライムローン(返済不能な借り手に貸すローン)と上記アルトAタイプローンをパックにしたビズネスが総額2270億ドル(24兆5,100億円)に上ると連邦住宅監督局のデータをWSJ紙は紹介している。
両社は年初から差し押さえ件数急増を食い止めるために不確実な借り手に返済額を一件あたり1万5,000ドル(162万円)融資を始めた。現在は払えないが将来払える借り手には離婚、家族の死亡もしく病気を理由に決済したとファニー・メイ社員は話した。
ファニーとフレディの時価総額は1990年1360億ドル(14兆6,800億円)だった。2003年に1.58兆ドル(170兆円)に膨れ上がり、株主と経営トップを潤した。
両社は会計ルールを無視して2003年スキャンダル事件が起した。フレディはボストン連銀総裁、サイモン氏を迎えた。ファニーはTV二ユースマンRogerMuddの息子のダニエル・マッド氏をCEOに迎えた。2人は今回辞任することが決まっている。
サイモン氏は、3月12日、マンハッタンのタイムズスクエアのハドソン劇場での投資家説明会で、「我々は住宅市場を守りぬく。株主とアメリカの利益のために成長を続ける」と誓った。2社は他の住宅金融機関同様、住宅価格の値下がりを過小評価したと結んでいる。
自分の身の回りに「ファニー」と「フレディ」はいないか。都合のいい時だけ寄ってきて、責任をとらない人はいないか。健康も同じである。人任せにしていると命さえ危ない。(了)