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「源氏物語の愉しみ方」:森田登代子氏 (スケッチ&コメント)

2008-11-24 11:40:25 | スケッチ


「源氏物語の愉しみ方」:森田登代子氏

江嵜企画代表・Ken



 西宮神社会館で「『源氏物語』の愉しみ方」と題して、森田登代子氏(国際日本文化
センター共同研究員、桃山学院大学・京都女子大学非常勤講師)の講演会が11月22日、午後2時から開かれるという案内をいただいたので出かけた。
 恒例により会場の様子をスケッチした。お見受けしたところ70歳代前後の方が多かった。一人私語を最後まで続けたご婦人を除いては熱心に話を聞いておられた。
 西宮文化協会講演会で『源氏物語』をとりあげられたのは始めてだそうだ。今年は『源氏物語』千年紀にあたる。宝塚大劇場(0570-00-5100)で公演中の『夢の浮橋』を当文化協会会長の吉井貞敏さんはフットワークがいい、この日の講演の前日見てこられたというからさすがである。
  講師は現在も32歳の重度障害児をお持ちの母親でもある。ヘルパーさんに気軽に頼めるようになったお蔭で少しは手がかかりにくくなった。もともと専門が「近世」でなぜ『古代』なのか。1000年前と近世がつながっているからだという。氏は40歳を過ぎて博士号を取られた。京大を定年退官された多田道太郎先生との出会いのお蔭だと話された。お陰という言葉を二度使われた。
 現在、「チベットの文化と歴史について」講義しておられる。チベット文化と『源氏物語』が又つながっている。『源氏物語』は日本文化のあらゆる領域に深く影響している。日本の生活文化の基層をなしていると表現された。
 「源氏の君の女性遍歴の話と思ったら間違いです。源氏は仕事が出来、高貴性と人間臭さという両極端を持ち合わせた男性だった。ドンファンと言う表現よりストーカーに近い」という言葉を森田さんは使われた。
 『源氏物語』は人生経験を踏んでから読むと一層味わい深い。いまでは『源氏物語』にすっかりのめりこんでしまった。作者の紫式部なる人物は尋常でない博覧強記だったという。「博覧強記」をあらためて広辞苑で引いた。「ひろく古今東西の書物を見て物事をよく覚えていること」と出ていた。
 作中人物の情念や心理描写の巧みさ、ことばの深遠さについて、プロジェクターで「源氏絵」(大和絵)を写しながら『若菜』『柏木』『横笛』などの場面を解説された。
 出産場面がある。当時は座産だったという。 ひとがなくなると庶民は直ちに土葬された。「もがり」の信仰があり高貴な人は死後しばらく放置された。当然ウジが沸く。紫の上は死んだらすぐに火葬してくれと強く望んだ。若い男性と年上の女性との激しい性愛描写も出てくる。氏は「『源氏物語』の愉しみ方」の一つと訴えたかったのかなと勝手に想像した。
 大和絵の江戸時代の解説でもわざとはずしている絵がある。自分でインテリだと思い込んでいる日本の男性ならやりかねないなと話を聞きながら思った。
 『源氏物語』が敬遠された理由の一つに学校での授業が楽しくなかったこと、テスト用に棒暗記させられたことも影響していると話され大いに納得した。
 注釈書には本居宣長『玉の小櫛』ほか契仲など数多く存在している。いずれも男性が書いた。
 『源氏物語』はそもそも女性の読み物だった。それと声を出して読むものであると言われた。 『源氏物語』を知ることが、公家のたしなみ・常識・インテリの条件にされ、男性の聖典(カノン)化したことが禍したと話された。
 『源氏物語』の現代語訳には、与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、玉上琢也。村山リウ、田辺聖子、瀬戸内寂聴と並ぶ。いまでは図書館でしか読めないが村山リウさんはお勧めと話された。
 「いずれの御時にか、女御,更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、いとやんごとなき際にはあるぬが、優れてときめきたまふありけり」などの文言が画面で紹介、ゆっくりとしたテンポで音読された。
 「声を出して『源氏物語』を読んでください。声を出して読むと健康のためにもなります。もともと日本語です。読んでいると不思議と意味も分かるようになりますよ。」と森田登代子さんは講演を結ばれた。質問の時間をいれて1時間半、中身の濃い講演だった。ご縁をいただいた吉井貞敏さんにあらためて感謝する次第である。(了)

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