経済学は難しいから嫌いだというひとが日本人に多い。好き嫌いで物事が解決するのであれば、世の中、これほど簡単なことはないと常々思っている。
筆者が水鳥の話をするのも、彼らは、物事は理屈では片付かない、好き嫌いでは生きていけない、諸事、変わるものだということを水鳥は、体のなかに叩き込んでいると思えるからである。
一般論であるが、日本人は、変わらないことを美徳とし、コロコロと風見鶏のように変化することを軽く見る傾向が極めて強い。機を見るに敏であるといわれるひとは、日本では、概して尊敬されない。今回のような「想定外」の事件が次々起こると、打つ手なしになるから怖い。
二ューズウイーク日本版最新号は、キ―ポイントで読み解く「世界経済入門」は、サブプライムローン問題に端を発して起こった世界金融危機を分かり易く解説している。一冊450円である。高いと安いは、人それぞれの判断であるが、日本語で読めるという点だけでもお値打ちだと思う。
ウオールストリートジャーナル(WSJ)紙を日本で店売りで買うと一部500円である。ところがインターネットの年間購読料は13,000円である。英語さえ読めれば実に安い。ただ、日本では情報はタダだと思っているから、WSJ紙記事を紹介しても感謝する人はほとんどいない。
先の二ューズウイーク誌に、「トヨタショック」というタイトルの記事がある。08年3月末に9000人いた「期間従業人」を09年3月末に1/3に減らした。日本の自動車産業は、鉄鋼などのすそ野を含めれば国内で501万人、全就業者の8%を占める。同紙は、逆トヨタショックを待ちたいと書いた。
株価は全てでない。しかし、トヨタの株価は、このところ堅調に推移している。一方、米自動車メーカービッグスリーの株価は全く冴えない。ビッグスリーは、生き残れるかどうかの「瀬戸際にある」と二ューズウイークは書いた。
最近のオバマ大統領の発言が、「ビッグ3は救済する」から「具体的対案を出せ」に変わった。ビッグスリーが潰れても部品メーカー含め自動車産業が残ればいいと言う考え方に変わったとの指摘もある。日本の自動車メーカーは、今、低姿勢であるが、早晩、アメリカでも息を吹き返すだろう。
トヨタは中国向けの輸出が増えているという記事がではじめた。トヨタに限らず、在庫を極端に減らしたために時間の経過とともに品不足を来たすだろうと勝手に想像している。需要が出てくると一端止めた生産は急には回復できない。溶鉱炉もそうだ。化学プラントも同じである。
商売の世界では余り物に値なしという。在庫をかかえていると売り子は落ち着いて売れない。在庫がなくなると、不思議と売り上げは伸びる。在庫の動きが景気回復のバロメーターになる。水鳥に聞けというのは、在庫に対する嗅覚が彼らは研ぎ澄まされているからだ。
在庫減らしが、世界的規模で、極端に進んでいる。極端に進んだことでいえば、世界の金融政策である。ゼロ金利政策は日本の専売特許だった。それが、今、アメリカ、イギリス、EU(欧州共同体)もほぼゼロ金利になった。金利を下げることを「金融」緩和という。資金量を増やす金融政策を、「量的」緩和という。
「量的緩和」は、ゼロ金利同様、日本の専売特許だった。ところが、今では、アメリカも、イギリスもスピード違反、ルール違反で、大量の国債を発行している。「量的」緩和とは、ひらたく言えば、お札をジャブジャブにすることである。米国は3000億ドルの国債を増発して不良債権を買い取る。国債を誰に買わせるか。日本と中国である。背に腹は代えられない。アメリカが中国と日本に猫なで声で擦り寄ってきている。
中国は昨年末時点で7,396億ドル(75兆円)、日本は6,348億ドル(64兆円)の米国債を保有している。米国の国債発行残高3兆ドル(300兆円)のほぼ半分を2国が占める。日本に米国債を買い易くさせるために、1ドル=100円までの円安に動いているのかもしれない。
「星は何でも知っている」という平尾昌晃さんのヒット曲がある。「鳥はなんでも知っている」。アメリカを水鳥と置き換えると分かり易い。アメリカは、日本を組みし易しと思っていることだけは確かである。(了)
筆者が水鳥の話をするのも、彼らは、物事は理屈では片付かない、好き嫌いでは生きていけない、諸事、変わるものだということを水鳥は、体のなかに叩き込んでいると思えるからである。
一般論であるが、日本人は、変わらないことを美徳とし、コロコロと風見鶏のように変化することを軽く見る傾向が極めて強い。機を見るに敏であるといわれるひとは、日本では、概して尊敬されない。今回のような「想定外」の事件が次々起こると、打つ手なしになるから怖い。
二ューズウイーク日本版最新号は、キ―ポイントで読み解く「世界経済入門」は、サブプライムローン問題に端を発して起こった世界金融危機を分かり易く解説している。一冊450円である。高いと安いは、人それぞれの判断であるが、日本語で読めるという点だけでもお値打ちだと思う。
ウオールストリートジャーナル(WSJ)紙を日本で店売りで買うと一部500円である。ところがインターネットの年間購読料は13,000円である。英語さえ読めれば実に安い。ただ、日本では情報はタダだと思っているから、WSJ紙記事を紹介しても感謝する人はほとんどいない。
先の二ューズウイーク誌に、「トヨタショック」というタイトルの記事がある。08年3月末に9000人いた「期間従業人」を09年3月末に1/3に減らした。日本の自動車産業は、鉄鋼などのすそ野を含めれば国内で501万人、全就業者の8%を占める。同紙は、逆トヨタショックを待ちたいと書いた。
株価は全てでない。しかし、トヨタの株価は、このところ堅調に推移している。一方、米自動車メーカービッグスリーの株価は全く冴えない。ビッグスリーは、生き残れるかどうかの「瀬戸際にある」と二ューズウイークは書いた。
最近のオバマ大統領の発言が、「ビッグ3は救済する」から「具体的対案を出せ」に変わった。ビッグスリーが潰れても部品メーカー含め自動車産業が残ればいいと言う考え方に変わったとの指摘もある。日本の自動車メーカーは、今、低姿勢であるが、早晩、アメリカでも息を吹き返すだろう。
トヨタは中国向けの輸出が増えているという記事がではじめた。トヨタに限らず、在庫を極端に減らしたために時間の経過とともに品不足を来たすだろうと勝手に想像している。需要が出てくると一端止めた生産は急には回復できない。溶鉱炉もそうだ。化学プラントも同じである。
商売の世界では余り物に値なしという。在庫をかかえていると売り子は落ち着いて売れない。在庫がなくなると、不思議と売り上げは伸びる。在庫の動きが景気回復のバロメーターになる。水鳥に聞けというのは、在庫に対する嗅覚が彼らは研ぎ澄まされているからだ。
在庫減らしが、世界的規模で、極端に進んでいる。極端に進んだことでいえば、世界の金融政策である。ゼロ金利政策は日本の専売特許だった。それが、今、アメリカ、イギリス、EU(欧州共同体)もほぼゼロ金利になった。金利を下げることを「金融」緩和という。資金量を増やす金融政策を、「量的」緩和という。
「量的緩和」は、ゼロ金利同様、日本の専売特許だった。ところが、今では、アメリカも、イギリスもスピード違反、ルール違反で、大量の国債を発行している。「量的」緩和とは、ひらたく言えば、お札をジャブジャブにすることである。米国は3000億ドルの国債を増発して不良債権を買い取る。国債を誰に買わせるか。日本と中国である。背に腹は代えられない。アメリカが中国と日本に猫なで声で擦り寄ってきている。
中国は昨年末時点で7,396億ドル(75兆円)、日本は6,348億ドル(64兆円)の米国債を保有している。米国の国債発行残高3兆ドル(300兆円)のほぼ半分を2国が占める。日本に米国債を買い易くさせるために、1ドル=100円までの円安に動いているのかもしれない。
「星は何でも知っている」という平尾昌晃さんのヒット曲がある。「鳥はなんでも知っている」。アメリカを水鳥と置き換えると分かり易い。アメリカは、日本を組みし易しと思っていることだけは確かである。(了)