しだれ桃:香雪美術館
江嵜企画代表・Ken
阪急神戸線「御影駅」から徒歩7~8分のところにある香雪美術館で、5月6日まで日本画家、平山郁夫、特別展ー日本の美を求めてーが開かれている。
美術館入り口入って手前に、「しだれ桃」、庭奥に、「しだれ桜」が、いま満開だからと、喫茶「いけだ」の馴染客のひとり、ご婦人のKさんから、特別展の招待券をもらい出かけた。実は、美術館近くに住んでいながら、「特別展」が今、開かれていることも、「しだれ桃」が咲いていることも全く知らなかった。
平山郁夫「特別展」では、本画10点、素描画40点計50点が展示されていた。素描画の方に関心があり、一点一点時間をかけて鑑賞できた。素描画は、師匠の前田青邨を団長とした模写チームの一員として参加された高松塚古墳壁画の男子群像、婦人像部分が特に印象に残った。
高松塚古墳は、現在の北朝鮮の文化とのつながりを残す貴重な文化遺産である。2点の模写を改めて眺めていると、日本が、古来朝鮮半島と深い絆で結ばれていたことを偲ぶことが出来る。
平山郁夫画伯は、昭和5年(1930)、広島県の生口島で生まれた。昭和20年(1945)氏が中学3年の時、学徒動員先の広島陸軍兵器支廠で被爆しておられる。奇跡の生還を果たされたが、後に原爆症に悩まされた。
生口島には多くのお寺がある。郁夫少年は、自宅から学校まで、寺々の間を縫うようにして毎日通学した。その時の原風景が後々の氏の画歴に色濃く影響したと解説にあった。法隆寺金堂壁画再現、高松塚壁画模写と続き、仏教伝来の源流を訪ねてアフガニスタンから中央アジアを訪ねている。
氏の仏教とのかかわりは深く長い。今回展示された素描に多くの社寺仏閣の絵が見られる。風景画も氏の得意とするところである。「佐渡」、「吉備路」、「熊野路」、「奥の細道」、「しまなみ街道」などなどの作品を、会場を訪れた方々が食い入るように鑑賞していた。
先のKさんからの希望もあり、「しだれ桃」をいれて、香雪美術館風景をスケッチした。(了)