4月20日付け読売朝刊「編集手帳」というコラムに、勝海舟が、福沢諭吉を「相場などをして金をもうけることが好きな男さ」と揶揄した。同じコラムに、映画「ライムライト」の中に出てくるチヤップリンのセリフにある「人生には三つのものがあればいい。希望と勇気と少しのお金」を紹介していた。
日本ではお金の話をすると嫌がる人が多い。ところが、お金にまつわるトラブルで命を落とす人が後をたたない。近くをJR神戸線が走っている。大げさな言い方をすれば、人身事故が毎日のように起こっている。障害者団体に対する郵便優遇制度を悪用して多額のお金を手に入れた人もいる。
今朝のNHK・BS「おはよう世界」を見ていたら、フランス国営テレビ番組で、ヨーロッパ経済の現状と見通しについてかなり詳しく報道していた。かすかな朗報が伝えられる一方で、景気は来年になるまで回復しないとの冷めた見方と併せて紹介していた。
日本ではアメリカの話は比較的よく取り上げられる。ところがヨーロッパの話となると関心が薄い。欧州の経済の実態はアメリカより深刻だと言うことが余り正確に伝えられていない。「おはよう世界」の肩を持つつもりはないが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン含めて分け隔てなく報道している。
ヨーロッパのニュースということでは、ECBのトリシェ総裁が日本に来ていて、セミナーで講演、その後も複数の日本のメディアとのインタービューを受けた話が今朝のWSJ紙に出ていた。普通の家庭なら複数の新聞を読める人は極めてまれである。そういう意味でWSJ紙は助かる。
トリシエ総裁は、5月7日開催予定のECBの会合で詳細説明するとして、追加利下げがあることと「スタンダードでない」措置をとるとして、前例のない量的緩和措置をとることを、かなりはっきりと発言した。
それをきっかけに、NY外国為替市場では、ユーロが対ドル、対円共に値下がりし、対ドルで、1ユーロ=1.28ドル台、対円では、1ユーロ=126円台で取引された。このままユーロが下げ続けるのか。先読みして一気に下げたのか、5月の会合のあとでは戻るのか、正直、予測がつかない。
日本円は対ドルでも買われ、1ドル=97.97円前後で取引された。ドルはこのところアメリカ株が上昇トレンドのなか買われていた。この日のNY株式市場では、NYダウが前日比289ドル、3.5%急落、7,841ドルと再び8,000ドルの大台を割ったが、対円以外ではドル買い需要は衰えていない。
日本では自国通貨が買われるとマスコミはじめ悲観的な報道を流す。輸出で飯を食っている企業が円高で収益がさらに圧迫されると円高をどうしてもマイナス材料としてとらえるのであろう。日本は資源の99%を海外から輸入している。
海外から原材料を安く仕入れることが出来れば、中間業者や各種機関が取り込まないことが大前提だが、個人消費にプラスになる。日本でもGDP(国民総生産)の60%は個人消費である。個人の懐勘定が少しでも改善すれば景気にも間違いなくプラスになる。にもかかわらず喜ばない。
脱線した。今朝のNYダウの急落は、バンクオブアメリカ株が24%安、シティー19%安、アメリカンエキスプレス13%、JPモルガン10%安など金融株の値下がりがリードしたとWSJ紙は解説している。この日バンカメは今年1~3月期黒字転換したと発表した。ところが株価は急落した。
なぜバンカメは売られたのか。同時に発表した将来の焦げ付きに備えた貸倒れ引当金を約134億ドル積み増ししたことが嫌気されたためである。投資家は、不良資産がこの先次々出てくると読んだ。このところ金融株は、金融危機は回復に向かうとして、上げて来ていた。とりあえず身軽になっておこうと金融株から投資家は、「逃げた」のであろう。
ヨーロッパ経済は、中欧、東欧の金融不安もあり、実態経済は米国より悪い。にもかかわらず、ユーロは、1ユーロ=1.34ドル台まで買われていた。それがトリシェ発言をきっかに一気に売り気配に転じた。米金融株も同じで、米国の金融機関の実態は何もよくなっていない。体の健康と同じでマーケットの自浄作用と思われる。
「おはよう世界」が伝えたフランステレビで、「ツバメが1羽戻ってきたからと言って、春がきたわけでない」とヨーロッパのことわざを紹介していた。確かに一部に明るさは見られるが、欧州経済の本復には時間がかかりそうだ。トリシェ総裁の発言を契機としたユーロ売りが教えている。(了)
日本ではお金の話をすると嫌がる人が多い。ところが、お金にまつわるトラブルで命を落とす人が後をたたない。近くをJR神戸線が走っている。大げさな言い方をすれば、人身事故が毎日のように起こっている。障害者団体に対する郵便優遇制度を悪用して多額のお金を手に入れた人もいる。
今朝のNHK・BS「おはよう世界」を見ていたら、フランス国営テレビ番組で、ヨーロッパ経済の現状と見通しについてかなり詳しく報道していた。かすかな朗報が伝えられる一方で、景気は来年になるまで回復しないとの冷めた見方と併せて紹介していた。
日本ではアメリカの話は比較的よく取り上げられる。ところがヨーロッパの話となると関心が薄い。欧州の経済の実態はアメリカより深刻だと言うことが余り正確に伝えられていない。「おはよう世界」の肩を持つつもりはないが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン含めて分け隔てなく報道している。
ヨーロッパのニュースということでは、ECBのトリシェ総裁が日本に来ていて、セミナーで講演、その後も複数の日本のメディアとのインタービューを受けた話が今朝のWSJ紙に出ていた。普通の家庭なら複数の新聞を読める人は極めてまれである。そういう意味でWSJ紙は助かる。
トリシエ総裁は、5月7日開催予定のECBの会合で詳細説明するとして、追加利下げがあることと「スタンダードでない」措置をとるとして、前例のない量的緩和措置をとることを、かなりはっきりと発言した。
それをきっかけに、NY外国為替市場では、ユーロが対ドル、対円共に値下がりし、対ドルで、1ユーロ=1.28ドル台、対円では、1ユーロ=126円台で取引された。このままユーロが下げ続けるのか。先読みして一気に下げたのか、5月の会合のあとでは戻るのか、正直、予測がつかない。
日本円は対ドルでも買われ、1ドル=97.97円前後で取引された。ドルはこのところアメリカ株が上昇トレンドのなか買われていた。この日のNY株式市場では、NYダウが前日比289ドル、3.5%急落、7,841ドルと再び8,000ドルの大台を割ったが、対円以外ではドル買い需要は衰えていない。
日本では自国通貨が買われるとマスコミはじめ悲観的な報道を流す。輸出で飯を食っている企業が円高で収益がさらに圧迫されると円高をどうしてもマイナス材料としてとらえるのであろう。日本は資源の99%を海外から輸入している。
海外から原材料を安く仕入れることが出来れば、中間業者や各種機関が取り込まないことが大前提だが、個人消費にプラスになる。日本でもGDP(国民総生産)の60%は個人消費である。個人の懐勘定が少しでも改善すれば景気にも間違いなくプラスになる。にもかかわらず喜ばない。
脱線した。今朝のNYダウの急落は、バンクオブアメリカ株が24%安、シティー19%安、アメリカンエキスプレス13%、JPモルガン10%安など金融株の値下がりがリードしたとWSJ紙は解説している。この日バンカメは今年1~3月期黒字転換したと発表した。ところが株価は急落した。
なぜバンカメは売られたのか。同時に発表した将来の焦げ付きに備えた貸倒れ引当金を約134億ドル積み増ししたことが嫌気されたためである。投資家は、不良資産がこの先次々出てくると読んだ。このところ金融株は、金融危機は回復に向かうとして、上げて来ていた。とりあえず身軽になっておこうと金融株から投資家は、「逃げた」のであろう。
ヨーロッパ経済は、中欧、東欧の金融不安もあり、実態経済は米国より悪い。にもかかわらず、ユーロは、1ユーロ=1.34ドル台まで買われていた。それがトリシェ発言をきっかに一気に売り気配に転じた。米金融株も同じで、米国の金融機関の実態は何もよくなっていない。体の健康と同じでマーケットの自浄作用と思われる。
「おはよう世界」が伝えたフランステレビで、「ツバメが1羽戻ってきたからと言って、春がきたわけでない」とヨーロッパのことわざを紹介していた。確かに一部に明るさは見られるが、欧州経済の本復には時間がかかりそうだ。トリシェ総裁の発言を契機としたユーロ売りが教えている。(了)