(学校で教えてくれない経済学)
今年ほど良い年の暮れを迎えられたのは久しぶりだ。来年はさらに良くなるだろうという話を聞いて一瞬目をパチクリさせた。さるヨーロッパ歴史研究会の勉強会のあと教室の近くの喫茶店で打ち上げをやった。その時のメンバーの一人でさる不動産会社社長の話である。どん底をはいずりまっていたあの不動産業界にも光が射し始めたのかもしれない。
日本の新聞やテレビ取材に、明るい話や特に成功体験、儲け話は当事者も話さない傾向が日本人には強い。一方、マスコミも明るい話は読者受けしないと決めつけ努めて取り上げないようにしているところが見受けられる。悪いニュ-スの方が新聞も売れるというが、今、日本の長所を売り込まずして、いつ売りこもうと言うのだろうか。
26日、ケーブルテレビで地上波番組の「報道特集2010年」の再放送を見る機会があった。日本の若者の海外留学生が極端に減っているという。イエール大学に入った19歳の青年が登場して「日本のような閉塞社会で、一度きりの大切な人生を無駄に過ごしたくない。それで米国の大学に進むことを高校一年時決め準備していた。ハーバード大とイエール大に共に合格した。ハーバードは経済、イエールは政治。将来政治家になりたくてイエ―ル大を選んだ。」と話していた。しかし、彼の場合は極めて例外ケースである。いまの日本の若者は、十分恵まれた今の環境を捨てて、敢えてリスクを踏んでまで海外留学しなくなったと解説していた。
マレーシアのクアラルンプールのショールームの特等席には韓国のサムスン電気が座っている様子を当番組が映していた。日本メーカーではたまたまかもしれないがソニーが顔を出していた。NYのマンハッタンの一等場所にもサムスンの電光掲示板が出ていた。NYに限らない。あらゆる国の空港でもそれは同じで電気製品と言えばサムスンが圧倒的であると現地取材班がレポートしていた。
芸術の世界でも日本の若者が海外で活躍する数が急激に減っている。ジュリアード学院は音楽家を目指す若者の登竜門である。日本人留学生がピークの1/5まに減った。一番強烈だったのは、米クリ―ブランド美術館で日本美術の学芸員として働くソン・スンへさんという韓国人が登場し、しかも流暢な日本語を話す女性だったのに正直驚いた。
彼女は日本の伝統絵画に感動し、来日して日本美術を研究していた。そこへ日本美術では米国トップの先の美術館からヘッドハンターされたのである。「私のような韓国人という外国人が日本美術を紹介するところが、逆に日本美術の素晴らしさを現地の人が理解してくれるのかもしれない。」とさらりとインタービューに答えていた姿が特に印象に残った。
先のクアラランプールでの話に戻す。日本はなぜ韓国に負けたのか。日本人は過剰技術を追求する。韓国は売れる物を作る。低級な技術であれば、それが仮に売れるからといって日本のメーカーは作ろうとしない。最高の技術で作れば売れると思い込んでいる。その上にお金儲けはきたないという考え方が日本人に染み込んでいる。その結果、日本品は韓国に負けたのだとある日本の経営者が淡々と解説していた。
世界ではインフレを心配している。日本だけがデフレである。日本のGDPは20年間成長していない。これが異常でなくて何を異常と言えるのか。(了)
今年ほど良い年の暮れを迎えられたのは久しぶりだ。来年はさらに良くなるだろうという話を聞いて一瞬目をパチクリさせた。さるヨーロッパ歴史研究会の勉強会のあと教室の近くの喫茶店で打ち上げをやった。その時のメンバーの一人でさる不動産会社社長の話である。どん底をはいずりまっていたあの不動産業界にも光が射し始めたのかもしれない。
日本の新聞やテレビ取材に、明るい話や特に成功体験、儲け話は当事者も話さない傾向が日本人には強い。一方、マスコミも明るい話は読者受けしないと決めつけ努めて取り上げないようにしているところが見受けられる。悪いニュ-スの方が新聞も売れるというが、今、日本の長所を売り込まずして、いつ売りこもうと言うのだろうか。
26日、ケーブルテレビで地上波番組の「報道特集2010年」の再放送を見る機会があった。日本の若者の海外留学生が極端に減っているという。イエール大学に入った19歳の青年が登場して「日本のような閉塞社会で、一度きりの大切な人生を無駄に過ごしたくない。それで米国の大学に進むことを高校一年時決め準備していた。ハーバード大とイエール大に共に合格した。ハーバードは経済、イエールは政治。将来政治家になりたくてイエ―ル大を選んだ。」と話していた。しかし、彼の場合は極めて例外ケースである。いまの日本の若者は、十分恵まれた今の環境を捨てて、敢えてリスクを踏んでまで海外留学しなくなったと解説していた。
マレーシアのクアラルンプールのショールームの特等席には韓国のサムスン電気が座っている様子を当番組が映していた。日本メーカーではたまたまかもしれないがソニーが顔を出していた。NYのマンハッタンの一等場所にもサムスンの電光掲示板が出ていた。NYに限らない。あらゆる国の空港でもそれは同じで電気製品と言えばサムスンが圧倒的であると現地取材班がレポートしていた。
芸術の世界でも日本の若者が海外で活躍する数が急激に減っている。ジュリアード学院は音楽家を目指す若者の登竜門である。日本人留学生がピークの1/5まに減った。一番強烈だったのは、米クリ―ブランド美術館で日本美術の学芸員として働くソン・スンへさんという韓国人が登場し、しかも流暢な日本語を話す女性だったのに正直驚いた。
彼女は日本の伝統絵画に感動し、来日して日本美術を研究していた。そこへ日本美術では米国トップの先の美術館からヘッドハンターされたのである。「私のような韓国人という外国人が日本美術を紹介するところが、逆に日本美術の素晴らしさを現地の人が理解してくれるのかもしれない。」とさらりとインタービューに答えていた姿が特に印象に残った。
先のクアラランプールでの話に戻す。日本はなぜ韓国に負けたのか。日本人は過剰技術を追求する。韓国は売れる物を作る。低級な技術であれば、それが仮に売れるからといって日本のメーカーは作ろうとしない。最高の技術で作れば売れると思い込んでいる。その上にお金儲けはきたないという考え方が日本人に染み込んでいる。その結果、日本品は韓国に負けたのだとある日本の経営者が淡々と解説していた。
世界ではインフレを心配している。日本だけがデフレである。日本のGDPは20年間成長していない。これが異常でなくて何を異常と言えるのか。(了)