柳井篤子さん東日本震災チャリティ腹話術会風景
江嵜企画代表・Ken
大阪日本橋で猪熊佳子日本画教室を猪熊先生にお断りして、自宅マンション地下1階集会場で午後2時から開かれる柳井篤子さんによる東日本大震災復興支援チャリティ腹話術イベントに駆けつけ、いつものように会場の様子をスケッチした。
柳井篤子さんはたまたま今年度のわがマンションの理事長さんの奥さんである。恥ずかしながら今日の今日までごくごく普通のご家庭の奥様だと思っていた。ところが大違いであることが司会の挨拶を聞いて初めて知った。
殺風景なただのマンションの集会場が見事に舞台づくりされた姿にまず驚いた。落語でいう枕が腹話術でもあるようだ。俗に言う「つかみ」が秀逸である。さらに彼女の奥に秘めた教養の深さを感じさせる,ゆったりとした人形とのやりとり、ユーモアを交えた、時にドキッとする言葉をさりげなく口にする。子供が大好きな、ウンチやおしっことかの言葉がさらりと出る。それでいて下品な感じを与えない。
いきなり子供の顔を書いたパネルを見せる。「何か抜けていません?」と問いかける。子供に好き好きに描き込ませる。目を入れる子供。次に鼻を入れる子供。まつ毛を入れる子供。子供をゲームに参加させて、すっかり子供を乗せてしまった。
次に本番の腹話術である。人形と柳井さんとのやり取りがなかなか味がある。家庭教育にもそのまま取り入れたらいいと思うテーマ選びがいい。人形を好き嫌いの多い子供に見立てた。そのあたりからマンション住人のおばさん達も完全に子供に帰って柳井さんが次々繰り出す巧みな話術に引き込まれていく様子が手に取るように分かった。
司会者の紹介によれば、柳井さんは、1995年9月に腹話術を始めた。2007年からA&オ―ルスターズのメンバーに参加、個人としてアメリカケンタッキーでの腹話術大会出場の後08年には世界腹話術大会に初参加、2010年プロとして独立した。
日ごろは子供病院、老人ホーム、福祉センター、YWCA,各種養護学校、福祉センター、灘区民を明るくする会などに出向くなど精力的に活躍しておられると紹介された。しかし、プロの世界は厳しいですと話された。
予定では2時40分迄と出ていた。ところが終わったのは3時である。これでオ・シ・マ・イと言はれたあとも、しばらく拍手が止まらなかった。
柳井さんは出口で人形を抱えて客人一人一人に挨拶された。腹話術で話す人形と握手して会場を後にした。幼稚園の先生と思しきひとが、うちでもお願い出来ますかと、柳井さんに声をかけた。その場で柳井さんが快諾された。これから先腹話術ネットワークの輪が益々広がる予感がする。
本日の参加者からの義捐金は東日本大震災復興支援に全額使われる。義捐金もいい。しかし、柳井さんの腹話術を一人でも多くの被災者、特に親を亡くした多くの子供たちに聞く機会があればいいなと思う。わがマンションの住人の一人として柳井さんの益々のご活躍を祈る次第である。(了)