新井弟、男を上げる,サヨナラ安打、人生捨てたものではない!!
江嵜企画代表・Ken
兄貴がつないだチャンスを試合途中から出た弟がサヨナラヒットで男を上げた。彼にとって、中日から移籍しての初めての晴れ舞台、4月19日、対巨人、甲子園初対決を歓喜の幕切れで演出した。巨人ファンにとって、後味の悪い敗戦だったろう。しかし、試合前に雨が降り、中止の可能性さえあった試合を、冷凍室のように寒かった甲子園で、最後まで諦めず見届けた阪神ファンには、辛抱し甲斐があった試合となった。
ヒーローは、どうしたのか、なかなかベンチから出て来ない。ア・ラ・イ、ア・ラ・イ、リ・ヨ・ウ・タ、良太と大声援のなか、新井良太選手が、お立ち台に立った。「今の気持ちを聞かせてください」、とアナがマイクを向けた。一瞬、声が出ない。緊張ありありの表情が電光掲示板、大画面に写った。「自分に回るだろうと、しっかり準備してました。」と落ち着いて話した。
期するところがあったのだろう。「これで阪神の選手になれましたね」とアナが水を向けたが、それには答えず、「明日も頑張ります。是非、甲子園に見に来てください」と締めくくった。スポーツに限らない。土壇場に追い込まれて、そう簡単に結果など出せるものではない。しかし、文太は結果を出した。人生、捨てたものではないと、大いに勇気をもらった次第である。
試合の方は、勝つには勝ったが、この日のタイガースは決して褒められた内容ではなかった。能見投手は確かに好投した。しかし、巨人のミスに助けられて勝ちを拾ったに過ぎない。投手戦と言えば聞こえはいい。しかし、とにかく打てない。打たない野球は見ていて面白くない。本来興業なのだから、お互い打ち合って面白い試合を見せて欲しい。これだけ打てないと、今のままでは、とてもとても、長いペナントレ―スを乗り切れないだろう。
それにしても、この日、お金を払って入った人の数が41,000人である。雨の影響で、20分遅れの6時20分試合開始となった。天候を様子見していたのであろう、試合開始直後は、観衆はまばらだった。ところが回を重ねるごとに客が入り、いつの間にかほぼ満員となった。野球嫌いの人には無縁の世界であろうが、野球大好き人間にとって、甲子園球場で、生のプロの試合が見られることは誠に至福である。
球場の様子をいつものようにスケッチした。思い出に残る貴重な試合を観戦することが出来、感謝、感謝である。(了)