森田りえ子日本画展ギャラリート-ク風景
江嵜企画代表・Ken
「作品は自分の子供の様なものなんです。いとおしんで描いています。
育児放棄したら子供は死にます。作品を途中でほりだすとそのまま
残ってしまう。わが身を削る思いで描いています。」という言葉で
日本画家、森田りえ子さんのそごう神戸店新館画廊でのギャラリ
ートークが10月20日午後2時から始まった。
やや手狭な会場は予定時間の午後2時前に満席になった。正面に桜、
糸菊、藤の3点の作品を前にした会場をスケッチした。男性はちら
ほら座っておられた。
「まん中の絵は糸菊です。1986年に第1回川端龍子大賞をいただいた
のも糸菊です。その時はじめて菊の花びらをフリーハンドで描きました。
花びらだけで2000回は描きます。」と話された。
「次に桜。庭にある花を描きました。震災直後のせいか寂しげに咲いて
いるように見えました。花は毎年変わらず咲きます。季節の巡りを
大事にしながら描かせてもらいました。」と話は続いた。
藤の絵のあと胡蝶蘭の絵について、「胡蝶蘭を描くのは今回で2回目、
この花に呼ばれたのだとおもいます。今回の展覧会で思い出のひとつかな。
宮崎の蘭です。「ガンバレ日本」というラベルが付いていた。東日本震災
を支援している人が私に描けと呼んだのだと思います。そういうことが
あるものなんですね」と一瞬、森田りえ子さんはしんみりされた。
「仕上がりのイメージをいつも持って描きます。描かずにおれない
のです。それが絵描きの性なんでしょうね」とトークを終えられた。
時計を見たら2時20分だった。
何か質問はありませんかと係の人が声をかけた。真っ先に筆者が
手を上げた。「森田りえ子画伯は国際画家としても飛躍されると
期待してますが、海外での個展開催の予定があればご披露いた
だきたい。」と尋ねた。
「2年前パリで個展を開催しました。来年1月15日から中東オマ―ンで
個展を開きます。オマーンは来年日本と国交40周年に当たり、国から
是非にと頼まれました。オマーンは安全な国で、夏は50℃を超えます
が11月から3月は気温も25℃前後で快適と聞いています。ツアーを
組みますから是非参加してください」と話された。
日本画教室の仲間の一人が「森田りえ子先生の大好きな画家を世界と
日本それぞれ教えてください」と質問した。一呼吸おいて「速水御舟
それと土田麦僊。世界では?一杯おられます。申し訳ありません。
今、急に答えられません」と答えた。
会場かぶりつきに座っていたお年を召された男性がいろいろ立て
つづけに質問した。そのなかのひとつに人物画について聞いた。
「はじめ人物画を描いていました。描きながら人物のイメージが沸いてきて
想像力をかきたてられます。実は最近肖像画をお二人から頼まれています。
嫁にいく娘を描いて欲しいと言われました」ととっておきの話を披露
された。質疑応答入れてかれこれ40分近かった。とても書きれない。
森田りえ子さんは話もうまいが文章も魅力的なチャーミングレディである。
来年オマ―ンで開催される個展を機会に国際画家として大化けする予感が
する。健康に留意され益々のご活躍を期待したい。それは日本画教室で
教えを受けた生徒全員の思いでもあろう。(了)