直観塾風景
江嵜企画代表・Ken
俄か百姓と自称される作家、佐藤眞生氏が主宰する直観塾に参加した。この日の卓話者は、佐藤氏自身である。テーマは、「エネルギー自給の突破口」だった。会場の様子をいつものように即興でスケッチした。
佐藤氏の持論は、「足るを知る」。「足るを知る」精神と生活様式は自給にあると、話は進んだ。「おすそ分け」という、今の日本で、ほぼ死語になった懐かしい言葉を口にした。かって日本人は人と人とのつながりを大切にし、その精神が「おすそ分け」するという知恵を産み、それを育てて、日本人は生きて来た。
佐藤氏は、電力が不足しているというが、それはウソだと話した。企業でも家庭でも電力を使い放題にしているのではないか。電気事業者用の1/3,家庭用の1/4が不要不急の用途に使われている。これに自家発発電17%を加えると、エネルギー総需要の39% 不要不急であると、持論を展開した。
参加者の一人が、そこまで来ると、付いていけないと発言した。ほとんどの日本人が、現在の生活にどっぷり浸かってしまっている。それをゼロから改めることは、現実問題として、難しいのではないと発言した。佐藤氏は、今あのブ―タンが近代化の嵐に見舞はれ、危機にたたされようとしていると話した。
佐藤氏は、放射能汚染の影響で、5年もたたないうちに多くの人に健康障害が出てくるのではないか。その時になって騒いでも手遅れだと指摘した。フクシマ原発事故という、言葉は悪いが、千歳一隅のチャンスを神様から与えられていながら、なお日本人は目覚めない。それが日本の現状だという意見も参加者から出た。
座が弾み、午後1時から同3時まで2時間があっという間に過ぎた。「エネルギー需要は、欲望に正比例して増え、自給に反比例して減る。」ということばが印象に残った。今の世の中、己の慾得でスタートしている。その結果、無駄にエネルギーを消費している。多くの人が、マスコミに踊らされながら、エネルギーが足りない、足りないと唱和して、そのためには、原発が欠かせないと叫んでいるのかもしれない。
「足るを知る者は富み、強めて行う者は志あり。」という老子の言葉が紹介された。今の自分は生かされている存在だ。生かされている役割を自覚し、利他に貢献することがみんなの幸せ。自分の持ち分に自分の欲望を収めることに満足する。そこから「お陰さま」という言葉も自然に出て来る。その究極の姿が「おすそ分け」ではないかと、と、佐藤氏は話を結ばれた。
炎天下、会場の最寄駅JR茨木駅まで徒歩約10分、この日出たいろいろな話を反芻しながら帰路についた。フクシマ事故から学ぶべきことは余りにも多い。エネルギー問題を、身近な問題の一つとして、家庭や学校でも、将来の日本を見据えて、子供達とも語りあってほしい。(了)