第5回大阪府立大学ホームカミングデー記念講演会風景
江嵜企画代表・Ken
第5回大阪府立大学ホームカミングデーが11月2日午前10時から中百舌鳥キャンプ、Uホール白鷺で開かれ参加した。大阪府立大学交響楽団によるウエルカム演奏にエヴァコール有志が共演した。奥野武俊学長挨拶の中で特別『府大ニュース』として卒業生、柴崎智香さんが、今年7月17日に行われた第151回芥川賞受賞、河野多恵子さん(大阪府女子専門学校卒)が平成26年度文化勲章受章が紹介された。余談ながら経済学部の先輩、藤本義一さんが第71回直木賞を受賞している。
引き続き10時30分から大阪府立大学、生命環境科学部学部長、増田昇教授の「新たなライフスタイルとしての自然との共生」と題する講演が12時まであった。氏の専門は、都市や地域の文化景観の保全や公園緑地計画に関わる研究に従事しておられると紹介があった。
講演の中で急速な都市開発がすすめられた結果、大阪の森の現状は惨たる状況だということばが強く印象に残った。ごく一部に里山が残されているが、このまま放置すると早晩姿を消してしまう。生き残った珍しい事例として、高槻市にある安満遺跡という歴史資産の保全・活用ということで安満遺跡公園として緑地が残ったと紹介された。
財政難のなかで財源の確保が常に問題となる。①地域社会②環境③経済は三位一体となって進める必要があるが、経済問題がSustainability(持続可能性)を常に妨げている。民間と公共体がファンドを立ち上げる動きがようやく始まった段階だと指摘された。
活動へのかかわり方に①マネジャー(活動を企画し調整する人)、②レンジャー(活動を実施する人)、③サポーター(活動を支援する人)が上げられる。ところが、②と③は比較的スムーズに集まるが①のマネジャーがいない。いろいろな機会をつくってマネジャーを育てる努力はしているが、現実問題としてマネジャー不在は厳しいとの指摘が印象に残った。
市民団体に呼びかけ、森の間伐、下草刈り、田んぼの草取り、稲刈りや根笹の刈り取りに親子で参加してもらう。子供のころから自然に少しでも親しんでもらう。自然とのふれあいの試みも徐々に増えてきた。散策路を作る。蝶シリーズなど動植物ごとに森の図鑑作りに参加してもらう。森の再生の試みが10年ほど前に始まったがまだ道半ばと説明された。プロジエクターに大阪の航空写真が写された。森が極端に少ないことが一目瞭然だ。
筆者の住む神戸市は六甲を背に海に南面している。JR線や阪神線の車内から眺めると年を追って六甲の山肌に食い込むように住宅が増えていく。76年前の昭和13年(1938)7月3,4日に神戸を大水害が襲った。その直前の6月29日に生まれた筆者は親や祖母などから幾度となく災害の恐ろしさを聞かされた。「自然との共生」を怠ると再び痛い目に遭うだろう。
「大阪の森は今惨憺たる状況だ。」 増田教授の言葉が耳にこびりついて離れない。(了)