新源氏物語「宝塚花組公演」風景
江嵜企画代表・Ken
前々から今年是非見たいと思っていた宝塚花組公演、田邊聖子作「新源氏物語」を
10月29日午後3時から見る機会があり堪能した。休憩35分を挟んでミユージカル
Melodiaも舞台狭しと踊り歌う展開が、第一部の雅な王朝物語と対照的だったことも
ありインパクト絶大で、見ごたえがあった。
阪急宝塚線終点宝塚駅を降りたとたん、宝塚劇場までの花の道は、徒歩12~3分あ
る。午前公演を見終わった客とこれから会場へ急ぐ客とがぶつかり、独特の雰囲気を
醸し出す。場所柄とはいえほとんどが女性である。ただ、この日は気持ち男性の姿が
普段より多いなと感じた。席に着くなりスケッチブックを取り出す。手前の客から描
きはじめる。
この日は開演20分前に2階B10列27番の席に着いた。2階A席代@5,500円の真後ろだが
それより上段の席ははるかに割安の料金でみられるから大いに重宝している。前の列
すぐ右手の席に双眼鏡をかざした二人連れの若い女性の姿が見えた。開演となると照
明が消える。照明が消えると手元不如意になるから、ここもと10分がスケッチの勝負
の分かれ目となるから緊張する。
演目はお馴染みの光源氏の恋の遍歴の物語である。プログラムを参考にしながら物
語の展開をまとめた。第3場は五月雨の夜、頭中将はじめ男たちが理想の女性につい
て話に花を咲かせる。第5幕はたまたま里帰りしていた三条邸で藤壺と許されない罪
を犯す場面。第9場では若紫との出会いの場面。第10場は桐壷の女御に生まれた若君
を震える手で抱く光源氏の姿が見せ場となる。息つく閑なく現れる第11場がお馴染み
の車争いの場と続く。回転のよく聞いた場面展開で迫力があった。
弘徽殿の怒りを買った光源氏は身の危険を感じ、須磨に都落ちする。海を介して舞
台正面は漆黒の満天に星が輝く苫屋が舞台の第13場も印象に残った。第19場は歳月を
経て赦され源氏は京に戻る。朱雀院の娘、三の宮を妻に迎える場面。第20幕は夕霧の
巻から題材をとった。内大臣の息子、柏木が登場する。柏木は以前から女三の宮に恋
焦がれていた。
第22場は桂木は夕霧の静止を振り切って女三の宮と密通、柏木の子を身ごもる場面
である。第23場はラストシーン。父桐壷帝は全てを知っていたのではないかと光源
氏は慄然とする。人の世の悲しみと苦しみを背負いながら生きていかなけれならない
と悟った光源氏は全てを胸に秘め、宮中に向かう場面でフィナーレとなる。
花組は宝塚大劇場での公演のあと、場所を東京宝塚劇場に移す。明日海りお、花乃
まりあ主演で同じ演題「新源氏物語」「Melodia-熱く美しき旋律ー」で11月27日~12
月27日間公演する。多くの宝塚フアンを虜にするであろう。野球の殿堂、甲子園、乙
女の殿堂、宝塚歌劇、二つの聖地を手軽に往来できることは大げさでなく人生の至福
である。(了)