アンスリュ―ム(Anthrium)
江嵜企画代表・Ken
神戸は朝10時過ぎから雨だった。例のフラワーショップ「潤」になんとなく顔を出したくなって、JR神戸線で三宮に出かけた。
店に着いたら、いつものお姉さんが、「花の絵のハガキを見てお客さんが、これ誰が描いたの? とよく聞かれますのよ」、と話しかけて来た。10枚ほどのハガキが、店のカウンター傍の柱に貼ってあったのには、正直びっくりした。
今日は、何をスケッチしょうかな?と思いながら店の棚を物色していたら、「私を描いて」と、催促する花があった。アンスリュ―ムである。二年前、森田りえ子パリ展で泊まったホテルのロビーに飾ってあった花だとすぐにわかった。
お姉さんに、「地植え出来ますか?」と聞いた。「出来ません。室内の窓際においてください。次々、花をつけます。かわいいですよ」と教えてくれた。
花のように見えるのは実は苞で、葉が変形した。棒のように飛び出しているのが花である。苞はまっ赤なハ-トの形をしているのでそれと分かる。家に二鉢買って帰ってスケッチした。
フラワーショップ「潤」の帰りには必ず画材店「ルナ―」に寄る。女主人のKさんが「最近、神戸に外人さんが増えて来たように感じる」と言った。奈良、京都に行かない客が神戸へ流れて来ているかもしれない。
これは耳寄りな話だと、相槌を打ったら、客人の一人が「中国人はいない」と言った。「中国の親が、津波マークが全国の海岸線全部に書き込まれているので当然神戸も危ない。直ちに帰ってこい」と連絡した。中国人がいなくなったのは天気予報・津波情報も影響したのではないかと話していた。
フクシマにメドがつけば中国人が日本に戻って来るだろう。問題なのはそれがいつなのか、東電さえ全く分からないと言うのだから、心もとない限りである。
目の黒い外人さんは居なくなった。その一方で、目の青い外人さんは少しづつでも戻って来たことは朗報だろう。日本全国が全て落ち込んでいたのでは共倒れになる。極端な自粛ムードはいただけない。せめて西日本だけでも元気を出して欲しいと常々思う次第である。(了)