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エッセイとショートショートと―あちこち話が飛びますが

五月病の季節

2005-05-29 08:54:15 | エッセイ
 ゴールデンウィークゆっくりし過ぎたせいか、少々お疲れ気味である。特にこの春、進学したり就職したりした人たちは、ちょっと気合いが抜けるころかもしれない。

 学校にしろ会社にしろ地域にしろ、当然のことながらそこには前々から人がいて、それはそれでまとまっている。言葉が違い、また目に見えない習わしみたいなものがあって、新入りは入りきれない、というのもままあること。
 向こうは向こうで「よそ者が来た」という意識があるのだろうが、なかなか打ち解けず、それが五月病の原因になっていることもあるだろう。季節は違えど、公園デビューした母親が他の母親たちに溶け込めず育児ノイローゼになる、というのも充分ありうる話だ。

 ただ、仲間だけで固まっているのを見ると、「勝手に仲間内でツルんでな」とも思いたくなる。「よそ者」の考えも聞かないと、進歩はないだろうな、とも。少なくとも、相対的なものの見方はできにくいだろう。とは言っても、僕もどこかで「仲間内」になってはいるのだが。
 地元に進学し、地元に就職し、周りは知り合いばかり、というのも安心かもしれない。しかしそれだけでいいのだろうか、と思う。よそ者扱いされることはないにしても、息苦しくはないのだろうか。少なくとも男だったら、どこか外の世界へ飛び出た方がいい。“異邦人”になるのも、悪くはない。

 ところで、そもそも五月病というのは、新年度が始まって、最初の緊張が切れることから来るものなのか。それともだんだん暖かくなってきて、体が慣れるまでの季節的なものなのか。ならば、年度の始まる時期や気候の違う外国では、たとえば“十月病”とでもいったものがあるのだろうか。
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