春先だったか、『ウルトラセブン』のリメイクを今年やるというので楽しみにしていたのだが、10月からTBSで『ウルトラセブンX』という番組が始まっているようだ。ここ静岡では放送がなく、少々がっかりである。
ネットで予告編を見たところ、CGを駆使したシャープな感じの作品になっている。
もう40年も前、『ウルトラマン』に夢中になったものである。適度にユーモアもあり、またバルタン星人やらレッドキングやら、怪獣に〈人格〉みたいなものがあった。そして第37話「小さな英雄」は、その中でも集大成と言ってもいいかもしれない。さすがに空は見上げなかったけど、最終回は本当に寂しかった。
続く『ウルトラセブン』も面白かったが、脚本・金城哲夫氏の思いがあってか、ややシリアスに過ぎたように思う。それにミクラスやらウィンダムやら、手下なんか使って。ツラくても、ヒーローは人(この場合、怪獣)に頼らず、一人で闘うものだ。(あとあと出てきた何とかレンジャーという、5人で闘うなんて、情けない!)
『帰ってきたウルトラマン』は本当に楽しみだったのだが、公害やらの時代を反映してか、さらに暗いものとなっていて、ガッカリした。何より、ウルトラマンが突っ立って闘うのは良くない。初代みたいに、「ハッッ」とか言いながら猫背で怪獣に向かうのが、いいのだ。攻撃をよけるために側転なんかして。それに、左手に何とか言う武器まで。ヒーローがあんなもん身に付けちゃあいかん、と子供心に思ったものだ。
『ウルトラマンA』はすっかりお子様向けになってしまったし、『ウルトラマンタロウ』に至っては父とか母とか出てきて、ヒーローがマザコンかいな、と思った次第。同じ円谷プロでも、プロデューサーとか製作のコンセプトが違ったのかもしれない。いつか『ウルトラマン』みたいないい作品が、と期待していたが、「昔話シリーズ」なんてふざけたものになってきて、その辺りでとりあえずウルトラマンシリーズは見なくなってしまった。
(それと『ウルトラファイト』なんていう、ちゃっちい番組もあった)
いつしか大人になってしまったんだけど、去年までやってた『ウルトラマンマックス』は『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』をミックスした感じでなかなか良かった。子供と一緒に、いや子供以上に一生懸命に見てしまった。
子供の頃のヒーローは、他にも仮面ライダーやマグマ大使、鉄腕アトムにエイトマンがいるけれども、やっぱり僕は、ウルトラマンがいい。あの、特撮初期の手作り感というのは、もう二度とできないだろうと思う。
男は人に頼らないで生きるもの、ぺちゃくちゃしゃべるものではない、そして自分の本当の能力は隠しておくもの、というようなウルトラマンに影響された考え方というのはしっかり残ってて、おそらく死ぬまで変わらないだろう。
考えてみれば、これらの番組は、僕らより20歳ほど上の人たちが作り上げたものだ。夢をくれたその人たちに感謝しないといけないし、彼らの価値観・考え方というものを、僕らは受け継いでいるに違いない。そして僕らの世代の製作者は、今の子供たちに影響を与えているはずだ。僕らの価値観を、子供たちは楽しんでくれているだろうか。
…ちょっとシリアスになってしまいました。
〔写真は、『ファンタスティックコレクション・ウルトラマン』(朝日ソノラマ)より〕