出張を利用して、東大総合研究博物館で開催されている「鉄―137億年の宇宙誌」を見てきた。(ついでながら、出張の時に当該用件だけしかやらないというのは、非常にもったいないことだと思っている)
血液中のヘモグロビンに鉄が利用されているのは知っていると思うが、そもそも地球内の大量の鉄により磁場ができ、そのおかげで太陽からの有害な宇宙線が防がれ、また太陽風により大気が吹き飛ばされるのも防がれたという。鉄器や鉄骨としてだけでなく、こんな形でも、鉄は生命を守っているようだ。
非常に安定であるため、宇宙にはそんな鉄が大量に存在するらしいが、うまくできてるな、と思う次第。もちろん鉄だけで生命が生まれ、守られるわけでもないのだが。
なお植物も、鉄がないとうまく育たないらしい。冷蔵庫のような恒温器に、鉄を充分与えたイネとそうでないものと、並べられていた。
あそれと、東北大学(さすが金属関係は強い)で作られた、純度99.9989%以上という鉄の塊が、デシケータに収められ展示されていた。何でも、さびない上、塩酸にも溶けず、展延性があるという。
見た感じはピカピカでモコモコのステンレス。軟らかいというから、触ってみたかったが。鉛みたいな感じだったろうか。
ただものすごくコストが掛かるため、そう大量には製造できないそうだが、いわゆる常識的な鉄とはまったく異なっている。とすれば、たとえば『理化学辞典』に載っている「鉄」の性質は、あくまでも純品ではない、という前提付きになってしまう。
鉄に限らず、その他の物質でも、そういうのがあるのかもしれない。
地味な展示会ながら、なかなか考えさせらるんで、興味のある方はどうぞ。10月いっぱいまでやってます。
…前回リキ入れ過ぎたため、きょうは短め。