ソクラテスとは誰か?
夢想家のように、ボーッと自身の想いに沈潜することがしばしばで、
酒はいくら飲んでも酔わないほど強く、
軍人としての耐える力はギリシャ軍随一と言われた屈強の男であり、
善美のイデアを求め、
アテネから生涯離れず、街の中でたえず問答的対話をしていた人。
そして、その結果、思慮(ものごとの本質を考え・知ること)の点では、学者や弁論家や劇作家など名前のよく聞こえた人の方が、つまらない職業と思われている人よりも九分九厘劣っていることを発見した人。
そのソクラテスを真似て、青年たちも有名人を調べたところ、みな知識だけは豊富だが、ほんとうのことは何も知らないことを知った。それによって、ソクラテスは青年たちに悪い影響を与え、ギリシャの神を信じない男だと訴えられ、陪審員制(500名)の裁判で死刑になった人。
ハーバード大学のサンデル教授は、人間のタイプも生き方も立場もソクラテスとは全く異なりますが、その思想内容も、ソクラテスとプラトンの哲学の核である【イデア論】を否定し、その代りに【目的因】を導入したアリストテレスの哲学につくわけです。
「サンデル教授は、現代のソクラテスである」とする千葉大学の小林正弥さんの解説を繰り返し放映するNHKは、極めて非見識だと思いますが、違いますか?
小林正弥さん、NHKの番組担当者の方、ぜひ、反論をお願いします。
武田康弘