地球の地表から上空2000km以上(20000kmくらいまで)にわたり、バンアレン帯と呼ばれる放射能帯がありますが、それは、磁場によってとらえられた「太陽宇宙線・太陽風(プラズマ)・太陽以外から宇宙線」です。
よく知られているように、そのバンアレン帯のおかげで、わたしたち地球の生命は、生存・繁栄することが可能となっています。高い放射線の飛び交う宇宙空間は、生命にとっては極めて危険な場所ですが、地球磁場がそれを防いでくれているのです。
ついでに言えば、スペースシャトルや宇宙ステーションと呼ばれる活動は、地上から500km以内で行われていますので、バンアレン帯には入りません。もし入るなら長時間の活動は不可能です。人間が乗った宇宙船がこの放射能帯を超えたのは、アポロ計画で月を往復した時だけですが(月までの距離は38万km)、短時間で通過したので(25分間くらい)、人体への影響はなかったと思われます。
更についでの話ですが、宇宙ステーションを地球外から見れば、ほとんど地表にくっついているほどです。地球を直径13センチの円として書けば、宇宙ステーションの軌道は、その円を書いた鉛筆の芯の太さ(0.5mm)でしかありません。
話を戻しますが、放射線は、生命体にとって致命的なダメージを与えますので、バンアレン帯の内側でだけわれわれは生きられるのです。それを、事もあろうに内部から放射線を出す(核爆発や原発)というのは、自殺行為であり、野蛮極まる技術というほかありません。わたしは、小学校高学年(1965年ころ)より天文少年でしたので、1958年に発見されたバンアレン帯に興味を持ち、それだけではありませんが、それを含めて私たちが奇跡的とも言える環境の中ではじめて生きられるのだ、ということに深く感動していました。
繰り返しますが、地球は、宇宙空間に対して閉じているからこそ地表の安全は保たれているのです。内部から大量の放射線を出すというのは、ほんとうに愚かな行為としか言えません。人間も生命体である限り、自然エネルギーと化学反応によるエネルギーのみを用いるべきで、放射線を大量に出す核反応によるエネルギーを用いてはいけないのです。これは、他の生命体への責任を含めて言えることです。
放射線は、レントゲン診察やがん治療などに、微量に局所的に使うにとどめ、エネルギーとして多量に放出することは許されません。これは地球に住む生命体の条件なのだ、わたしはそう確信しています。
武田康弘