思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

EUが日本に「人権条項」を要求ーーーわが日本政府の後進性は目を覆うばかり。

2014-05-14 | 社会批評

EUが人権問題で厳しく日本を批判しています。

安倍首相のお友達で、政府の教育再生実行委員の八木秀次麗澤大学(元・高崎経済大学)教授が、ちくま新書で「反人権宣言」(「人権は欧米の作ったイデオロギーであり、われわれは人権という言葉に怯える必要はなく、日本人は日本の常識に戻ればよいのだ」と記述)を出している国ですから、EUから批判されるのも当然です。個人を認めないイヤ~~~なわが国を変えたいな、とわたしは強く思います。

 

以下は、ヤフーニュースです。坂東太郎さんの解説から抜粋します。


 戦略的パートナーシップ協定(SPA)の交渉で、欧州連合(EU)が日本に対して「人権条項」の設置を要求し、日本側が反発しているとの報道がありました(時事通信、55日)。SPAの人権条項とは、日本で人権侵害などが起きた際に経済連携協定(EPA)を停止できるというものです。


死刑執行を続ける日本

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの調べだと死刑廃止国(事実上の廃止も含む)は世界の3分の2。執行しているのは約20か国に過ぎません。死刑執行数の断トツ1位は中国で、イラン、イラクなど中東の国が多く含まれます。イスラム諸国は欧州の法制度とは別の「イスラム法」に依拠するためです。先進国で制度が存在して執行が行われているのは上位10か国のうちアメリカと日本ぐらいです。
 
ただアメリカの場合は州によって異なり、死刑制度がある州も執行する日や方法などを本人はもちろん家族や被害者遺族、マスコミにまで公開し、執行の立ち会いまで多く許されます。「正しい死刑のあり方」を常に議論しているのです。死刑囚への取材も正規の手続きを踏めば可能です。

 それに対して日本では取材など到底無理。執行は当日の朝に本人に知らせる仕組み。以前は事前通告していたのですが、今は自殺防止など「心情の安定」などを理由に当日となっています。国際人権規約委員会の勧告はまさにこの点を突いています。廃止派の主な主張は「生きてこそ償える」「国家だからといって『殺人』は許されない」「冤罪(ぬれぎぬ)であったら取り返しがつかない」などです。 

国連が指摘する日本の人権侵害

 日本では、刑事訴訟法では警察の留置が原則48時間(2日)までで、警察が「裁判を起こしてもらうか判断するに足りる」と考えたら検察庁に身柄が移されます。検察の取り調べは原則20日間までで、そこまでに起訴(裁判にかける)かどうかを決めます。日本の刑事裁判の有罪率は99%以上。ゆえに検察の起訴か不起訴かとの判断はまさに運命の分かれ道となります。この間、容疑者(罪を犯したと疑われる者)は基本的に外部と接触できません。

 国連が指摘した人権侵害は他にもあります。女性差別、障害者差別、同和問題、子どもの権利侵害、先住民族(アイヌ)差別など。これとは別に法務省の人権擁護機関は性的少数派(いわゆるLGBT)や原発事故での被災者差別などを課題として取り上げています。女性差別は出産・育児の段階で退職してしまうM字カーブ問題(OECD加盟国でこの傾向が見られるのは他に韓国ぐらい)、男性は育児休業の取得率は2012年で1.89%という極端な少なさ。8割が取得するスウェーデンと比べるとゾッとするほど低いのです。女性管理職の比率11.1%も欧米に比べるまでもなく低く、フィリピン、シンガポール、マレーシアの後塵をも拝しています。

  障害者差別は20141月に障害者権利条約をやっと日本が批准したというありさま。同和問題も就職や結婚で相変わらず根強く、子どもの相対的貧困率は67人に1人で1人親家庭のそれは半分以上と先進国中最悪。2013年に「子どもの貧困対策法」ができました。

  いじめや体罰、虐待は人権擁護機関が救済にあたります。アイヌ民族にかつてアイヌ語を禁じるなど同化政策を強制しました。今はそうした行為は行われてませんが、大学進学率が全国平均の約半分に止まるなど生活や教育の格差は解消しておらず、それに向けた立法も遅々として進みません。

  LGBTに関しては欧米が相次いで同性婚法やパートナ法を成立させており、同性愛を認めないカトリックが多いフランスでさえ2013年に合法化しました。日本でも、という動きはあるものの具体的な法案準備段階まで至っていません。

  「難民鎖国」も世界から白い目で見られています。難民とは人種、宗教、国籍、政治的意見などを理由に迫害される恐れがあ」るために「他国へ逃れる」しかない人々で、それ自体が重大な人権問題です。2012年の申請者が約2500人に対し認定したのは18人。別途法務大臣の裁量で在留資格が与えられた人も100人程度。欧米先進国の年間数千から数万という受入数とは比較にならず「鎖国」と批判されています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする