自説以外は認めない安倍政権は、いよいよ、戦後の日本国家を転覆させるための法改正を始めます。
アメリカ軍との一体化で「中国と対抗できる国へ」の路線を進めるのが基本戦略です。
日中の国交回復を行い親交の道を拓いた田中角栄(偉大な政治家・哲学徒で55代総理大臣の石橋湛山による路線を引き継ぐ)の努力を反故とするわけですが、
同時に、戦後民主主義の否定→日本の独自性を謳う国体思想の復活を目がけます。目的は、近代民主制を支える社会契約論(人民主権)に則ったいまの「日本国憲法」を、日本主義(皇室=天皇を中心とした国体国家)の憲法に変えること=「思想改革」(日本主義への転回)を成すことです。
「欧米がつくった人権という思想は、『個人』を中心とする闘争の論理でしかなく、われわれ日本人は、人権という言葉に怯える必要はない。日本は、日本の常識につけばよい。日本人は、個人ではなく家族を中心とすべき。天皇陛下は国民の父母である。」と主張する安倍首相の思想ブレーンである八木秀次・麗澤大学教授の言(「反人権宣言」ちくま新書・「明治憲法の思想」PHP新書)を見れば。安倍首相のイデオロギーは明白です。
こういう明治政府が作成した日本主義(国体思想)への後戻り(無条件降伏で歴史の審判の下った思想)を、アメリカ軍との一体化=集団的自衛権の確立によって成そうとするのが、現政権のキワモノ的戦略であり、最終目的です。
実に恐ろしく且つバカバカしい思想と戦略。「人間を幸福にしない日本というシステム」の完成です。
安保闘争を上回る闘争が起きることは必至です。国家主義者vs民権派の闘いは、日本の歴史を変えるかもしれません。民権派は、明治政府によって潰されましたが、今度は、明治政府の後継者である安倍首相など保守主義の一団を、ふつうの市民の良識が打ち破る番です。国家的な「公」という思想から、市民的な「公共」に依拠した市民社会への転回を目がけます。
武田康弘