★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

天使の匂いを知っている──捨身への情熱

2010-05-27 22:48:53 | 文学
ゼミ生といっしょに谷崎潤一郎について議論した──といっても結局喜国雅彦の「月光の囁き」の話になっちゃったが……

第一章の最初の頁は、満月が木立の裏からのぞき、そこに「──天使の匂いを知っている──」とある。最高の出だしである。

この漫画を高松で議論することには非常に地域貢献的な意味がある。いい加減、高知の偉人を坂×××でなく西原理恵子に、高松市の偉人を××寛ではなく、喜国さんに切り替えましょう。

ということで充実した大学での仕事を終え、自宅で玄米茶をがぶ飲みしながら自分の研究に移る。
日本浪曼派で勝手に目立っていた芳賀壇さんの『英雄の性格』、『祝祭と法則』を斜め読みする。

笑いが止まらない。「愛」とか「ソフィア」とか

「死ね、──而して、生れ」(←死んだら終わりだよ、頼むよ芳賀さん……)

とか、

「生を、国体を、民族を、血統を、感謝した」(←読点なんとかしてくれや)

とか、もう漫画だな……

でも、揚げ足取りは良くないなと思い『祝祭と法則』をめくり直す。喜国さんの場合と同じく最初のところを引用してみよう。

「1.捨身への情熱」

おっ、これはいい。捨ててくれ捨ててくれ。