
「軍師殿、その頭の上のものを捕虫網で…」と孔明に近づく関羽。
ドラマ三国志は、「赤壁大戦」を観終えた。
ところで、例の映画「レッドクリフⅠ・Ⅱ」は、どこからつっこんでいいのか分からんほど意味不明な出来であった。周瑜(俳優誰?)と孔明(金城武)が友情ごっこをやっているのはまあ許せる(←ほんとはそこが一番許せん)として、張飛の吠え声は一体何ですか、虎ですかっ。差別的といえば、逆?の意味ですごいのが、孫尚香であり、彼女は劉備のヒコウをついて失神させたあげく「戦略結婚て一番嫌いなのっ」ってお前は女権論者かっ。尚香は劉備との結婚がいやなので、敵軍にスパイに行って、素朴など田舎もんのお兄ちゃんと仲良くなってしまう。赤壁決戦では、その敵側のお兄ちゃんを助けに行き、彼女と会って緊張が途切れた彼は射抜かれあっけなく死ぬ、あはれすぎて音楽スタート。それにしても、曹操が小喬(周瑜の奥さん)狙いにここまで進軍してきたとは、驚きだ。人妻好きにも程がある。ところでその小喬は……。び、美人だ、曹操様はやっぱり正しい。
そこはよく分からなかったな、油断していると、何でも出来て変な趣味もなくコンプレックスの何もない、ワークライフバランスのとれてる周瑜が偉いという話に見えてしまったじゃないか。
ドラマ三国志の方は、ここまで変態的にデフォルメされてはいなかったが、東風が吹いて曹操軍の舟が少し焼け始めたところで、すぐに曹操様が逃亡し始め、戦自体はすぐ終わってしまったのはちょっと拍子抜けであった。クライマックスが、関羽が曹操を逃がす場面にある以上、当然のことであろうが……。
考えて見りゃ、魏書武帝紀には、曹操は不利だったし病人が多く出たので撤退したと書いてあったようであった。本当に負けでなかったのか、負けたことを認められなかったのか、曹操は負けだと本気で思っていなかったのか?花×清輝が昔、『随筆三国志』で、曹操は、孫権の「天下二分の計」もわからないのであってみれば、孔明の「天下三分の計」が理解できるわけもなく、結局そんな「計」のなさで「負け」ていたのだと言っていた。そういう負けは結局現実の「負け」になって現れるのだ、と。無論、花×は、当時の冷戦構造とか第三世界論に重ねて三国志を見ていたわけである。どうも花×に欠けていたのは、日本はその場合劉備と孔明に象徴される第三世界=アジアなのか、はたまたただの戦場──「赤(への)壁」あるいは「長江」なのか、という疑問であったような気がしてならない。そういえば、「レッド・クリフ」にも一人日本人が──中村獅堂が元