みなもと太郎の『風雲児たち』は、幕末編がたぶん継続中であるが、5巻あたりまで読んで最近読んでいない。というのも、どうも坂本龍馬が出始めるとこの漫画はつまらなくなるのではないかという予感がしたからである。源内や蘭学者達の描写が非常に感動的だったので、龍馬のような
私は、司馬遼太郎が──大して読んでもない癖に嫌いで、みなもと氏が勉強した資料もほとんど知らない。私にとっての幕末維新史は、下手するとみなもと太郎ベースの知識で成り立っているから、今後の展開が怖かったのである。あれです、近代文学を研究していると、明治維新については、いろいろ知らなくても複雑感情があるのですよ……それも関係あります。
とまれ、『風雲児たち』の功績は、維新が、誰かが起こした暴発した革命ではなく、恐ろしく長い時間がかかっている運動であったことを啓蒙した点にあるのであろう。しかし、こういう作品の例に漏れず、明治維新以降の価値に対して判断を迫られることになる。歴史物はこの時点でもう純粋に歴史物ではなくなる。
上の『冗談新撰組』は、作者にとっては幕末を描いた最初の作品らしい。新撰組の盛衰がたった70頁たらずで語られているが、面白い。新撰組は徹底的にギャグになっており、土方近藤の心理はまったく描かれていない、私は別にこれでいいと思うのである。