先ず、急を要することは、全国の風光明媚なる高原に、海浜に、幾千万の精神病院をつくることである。国家的な大事業であり、疲れたるヤカラをみんな送る。看護婦もたくさんいるし、輸送も大変、催眠薬の製造も忙しい。睡眠省とか、睡眠大臣というものが必要であり、初代の大臣は私がならなければならないだろう。私がこんな心配をしなければならないのも、深夜のメイ想などという不健全な古典的言辞を弄する精神匪族が残存しているせいである。
――坂口安吾「深夜は睡るに限ること」
わたしの知り合いの政治家もあまり寝ないで忙しいのだが、――あんな働き方が普通の人間にできるはずがない。しかし、アドレナリンだけが猛烈に出ているようなやつらの頭がまともかどうかもわからん。もっとちゃんと寝ればもしかして国を誤ることも少しはヘルのであろうか。
そういえば、わたくしのでたT大学はますます樹海の中に埋没しつつあり、もっとも物質的に開かれていたのは、移転反対派や移転賛成派がリンチに遭っていた開学当時であるといへよう。キャンパスの夜なんか、むしろ暗黒に開かれているとしか思えない明度である。一度、停電の時に歩いてみたんだがほんと何も見えなかった。わたくしも当時、いっちょ前に暗黒が嫌いであった。だから夜も起きて本を読んだりビデオを観て遊んでいたきがする。
赤川次郎は規則正しく朝からきっちり仕事をして量産した。勤め人のハイドンが交響曲を量産したのはその意味でわかるような気がしないではない。が、ミヤスコフスキーとかがよくわからん。
一日中白昼夢のようなわたくしは、わりとすぐに夢に見る人で、最近は斎藤史とかローラ・パーマーと夢で会った。