この感応は人間の内部の生命を再造する者なり、この感応は人間の内部の経験と内部の自覚とを再造する者なり。この感応によりて瞬時の間、人間の眼光はセンシユアル・ウオルドを離るゝなり、吾人が肉を離れ、実を忘れ、と言ひたるもの之に外ならざるなり、然れども夜遊病患者の如く「我」を忘れて立出るものにはあらざるなり、何処までも生命の眼を以て、超自然のものを観るなり。再造せられたる生命の眼を以て。
――北村透谷「内部生命論」
……私には何にもみえんが……畢竟、内部生命も純粋経験も観念に他ならず。ただし、こういう観念批判に私は飽きが来ている。「永遠に超えんとするもの」(「西方の人」)という言い方もいやだ。