メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『戸川純写真集 ジャンヌ・ダルクのような人』池田敬太 Pヴァイン

2021-07-16 14:53:51 | 
2020年初版

YouTubeで宣伝していて気になっていた本書
目黒区立図書館から借りられました/謝

2003~2006年までのライヴの記録
私はまだ見たことがない東口トルエンズのアー写もある

以前、写真展を観た池田敬太さんの作品を1冊にまとめてある

池田敬太写真展「戸川純」 @Gallery ナベサン(2018.9.13)

『ピーポー&メー』 戸川純(著)



【撮影場所】
初台DOORS
恵比寿リキッドルーム
下北沢Club 251
下北沢BASEMENT BAR
新宿ロフト


冒頭にカラーページが20Pほど
あとはすべてモノクロのライヴ写真

カメラを持って、歌う純ちゃんを自由に激写している感じ
ブレブレのもあるけど、それがまたカラーよりなまめかしくて
これはどの曲を歌ってる時かなあ?と想像する

目を惹くのはまずファッション
ロリータ系でもいろんな組み合わせが斬新で
細かいところまでとにかく可愛い

バッグを斜めがけして歌う人、見たことないし
長い靴下、長いヒモが垂れたニット帽、長いニットマフラー
ヒールの高いブーツ、黒い網タイツ

ドレスから覗く背中や手脚がとにかく美しくてみとれる
♪玉姫様 の頃のロリータとこの年頃のロリータは
また趣が違って良い

池田さんがカメラマンとして、男性としても
ここだっ!て思った瞬間を本に詰め込んだのでは?



【内容抜粋メモ】

序にかえて 戸川純(談)
「(写真を)撮りためてもいいですか?」とオファーしてきたのは
池田さんで4人目

ゲイの1人の方以外はイヤな思いをしていた
「君は童顔だね」と言われて
紺のスクール水着を着せられて岩場で撮ったり
公私混同して性的な要求をされたり(“ME TOO”まんまだね/汗

トルエンズの写真が気に入っていたので
私は「こちらこそお願いします」と返事をして
足かけ3年くらいで撮っていただいた

夢を提供するお仕事だと思っているから
私は裏側を見せるのがイヤで
池田さんは、ひと言も言ってないのに楽屋では撮ろうとしなかった

あの頃は私は遅刻癖があり、池田さんをはじめ
お客さんにまでご迷惑をおかけしたと申し訳なく思います

この時期は「自分には音楽しかない」と思っていた

いろいろあって気分を変えようとNYに行った
空港で止められて、プロモーション用のCDが出てきて

「あなたが日本のシンガー・アクトレスと証明されました」と言われて許可が下りた
向こうは誰か迎えがないと入国できないので
ジム・オルークがジョン・ゾーンに電話してくれて迎えに来てくれた

同時多発テロ後で、全体にしんみりとして
落ち着いていたのが自分には合っていた

タワーレコードに自分のコーナーもあって(!)
CDをあちこちで配っていたら
ライブハウスのオーナーに「歌ってみないか」と言われて

諦念プシガンガ をやったらアンコールが鳴りやまない
アンコールに♪蛹化の女 も歌った

東口トルエンズのイメージは「ヤンキーが校舎の裏でタバコを吸っている」という感じ
アーティスト写真を撮るのが池田さんで
トイレで寂れた感じで一発で気に入りました

私はアートに対してコンプレックスを持っていないのですが
被写体としてアート写真にしていただけたことは
純粋に嬉しかった

池田さんはバンドのキャラクターを
きちんと撮り分けてくれるのが嬉しかった

戸川純バンド、トルエンズ、トリコミ、ヤプーズ
どれも差別なく溶け込んでいる




あとがき 池田敬太
ホッピー神山さんの計らいで
以前から撮りたいと願っていた
戸川さんの写真を撮る機会が巡ってきた

私が写真を撮りだしたのは、絵を描く材料を集めるため
ライブ好きが高じて撮るようになった


東口トルエンズのアーティスト写真を撮った時のこと

昼間、深大寺の植物園付近で撮りたいと言われ
普段、ライブしか撮らないからなかなかイメージが沸かない

戸川さんはなかなかいらっしゃらない
植物園も閉まって、山本久士さんは夜に仕事があり時間がない

急遽、山本さんが働く下北沢のバーの地下のフロアを借りて撮影した


今も若いバンドの人たちと話すと
戸川さんをリスペクトしている人が多い

「赤いくらげ」というバンドのなつさんは
ステージで純ちゃんが好きと公言している

戸川さんは続く人にとってのジャンヌ・ダルクなのです


戸川さんは慣れや、予定調和は拒絶
何百回歌った曲も毎回違って楽しい

2018年に小規模ながら写真展も開いた
写真集にしてくださいという言葉をいくつもいただき
実現して嬉しい限りです



池田敬太
1960年 伊万里市出身
挿絵画家になるために上京
挿絵を描きつつ、劇団キラキラ社、劇団状況劇場に在籍
映画看板絵描きとなり、ライブハウスで撮影を始める



***

東口トルエンズのアーティスト写真は
床に座り、カメラを睨みつける2人がカッコいい
純ちゃんのキレイな胸元にドキドキする

赤いブラジャーみたいな衣装はジャニスを思い出す
金髪のウィグに宇宙人みたいな触覚をつけていたりw

ヘアスタイルも逆毛をたててたり
ストレートも可愛くて真似したくなる

デニムのミニスカートから
すらりと伸びた脚が真っ直ぐでキレイ

今みたくイスに座っている写真もあるから
腰を痛めた後のものだろうか?

MC中と思われる写真は素が出ていてはにかみの表情
歌っている時は、憑依したように別人格なパンクだったり悲哀の表情に一変する

狭いライブハウスの中で余程接近して撮っているのか
たまにカメラ目線もあって、ドキっとする

スピーカーに足をかけて歌う下から見上げるように撮ると
スカートの下にフリフリな白いパンツを履いているのまで見えて
これまたドキドキする

我を忘れてシャウトしている顔もかっけー
ど近眼のために薄めに開けた流し目もステキ

歌詞のヒロインに没入している様は
女優さんでもあることを思い出させる

激しい動きのブレで光と一体化している写真もあって
純ちゃんて接近して見るとこんな風に笑うのか!て
初めて見る顔もある

時々、発作的にのけぞったり、急にうつむいたり
歌っている時は本当に表情豊かなのが改めて分かる

MCで喋り出すと、ひと言ひと言がとても丁寧で
そのギャップも楽しくて萌える


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