1976年初版 1980年 第3刷 猪熊葉子/訳 アントニィ・メイトランド/画
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【内容抜粋メモ】
登場人物
ブリューイット家
父 地下鉄で働いている
母リリー
ベン ロンドンのビッグベンにちなんで名づけられた
メイ、デイリス 姉
ポール、フランク 弟
チャーリー メイの婚約者
フィッチ祖父母
ティリー 飼い犬
ベンの誕生日に犬が欲しいと言って
フィッチおじいさんがくれると約束してくれたのを朝から楽しみで仕方ない
散歩から帰ると家族からのプレゼントが置いてある
祖父母からは1枚の絵が贈られてきた
亡くなったウィリー叔父のお土産で犬と手のステッチ
祖母の手紙の後に祖父の字で「犬のことほんとにごめよ」と書かれていた
文字を書くのがニガテで誤字になっているのが余計に悲しい
ベン:二度と祖父母の家に遊びに行くもんか
ベンは歳の近い姉2人、弟2人に挟まれた形でいつも孤立している
母はベンの気落ちを慰めるために、ステッチの手は飼い主の少女ではないかと言う
裏に「チキチト チワワ」と謎の文字が書いてあった
*
翌週、ベンは祖父母の家に泊まりに来た
道路工事をしていた祖父と関節炎の祖母の家にはティリーという犬がいる
祖父:お前にはほんとにすまないと思ってるよ
ベンはロンドンでは犬を飼えないのだと話す
祖父母の家は2軒の一方で、もう片方には若いパーキンス夫妻が住んでいて
よく面倒をみてくれている
祖母は家族みんなに敬られている
祖母:
私たちには21人孫がいる
その1人1人に1匹ずつ犬をくれることはできない
でも約束を誤魔化してはいけないね
ベンはティリーと一緒に散歩に出る
川で水浴びをしていると、子どもたちが犬のトビーと一緒に船に乗っているのを見る
トビーは2年前にティリーが生んだ子だと聞くと羨ましくて悲しくなる
「チキチト チワワ」の意味を聞くと、スペイン語でとても小さいチワワという意味
ベンは帰りの汽車の中に絵を置き忘れて、掃除夫がゴミと一緒に片付けてしまう
メイの婚約者チャーリーは建設会社に勤めていて、結婚後に住む家を北ロンドンに見つけて
デイリスも一緒に住むことになり、母は娘が2人も離れてしまうことが寂しく感じる
*
ベンは公共図書館で犬の専門書を借りて、チワワについて調べる
「食用に適す」と書いてあり、青ざめる
その夜、チワワとベンを太らせてから食べられる夢を見てうなされる
チワワは「ひどく臆病だ」と書いてあり、そんなはずはないと否定する
目を閉じるとチキチトが勇敢にロシアのオオカミの群れを追い出す様子がありありと浮かぶ
その日からベンは、家、学校、電車でも目を閉じてチキチトを想像するようになる
授業中もぼんやりしているベンを心配した先生が校長先生に報告し
母が呼ばれて注意される
わけを聞いても、チキチトのことは秘密にした
*
ロンドンは名物の霧が濃くなる
一家そろってのクリスマスは今年で最後のため、一緒に外食する
ベンは道を歩いていても目をつぶってチキチトのことを想像していたため
白髪の婦人が乗るクルマに轢かれて救急車で運ばれる
片足、あばら3本、鎖骨を折り、脳震盪を起こして
しばらく意識不明だったため、何度も母が名前を呼ぶ声に引き戻された
徐々に回復したため、メイは予定通り結婚式を挙げた
フィッチおじいさんがロンドンに出て来て、ベンを見舞いに来る
ティリーが妊娠していると聞くと、ベンは改めて犬が欲しくなる
だがやはり狭いロンドンでは犬を散歩させる所がない
退院して、祖父から9匹生まれたと手紙が来る
母と一緒に祖父母の家に来て、すっかり子犬の世話に夢中になる
毛の色に合わせて、それぞれに名前もつけてあげる
祖母:お前は子犬を1匹もらう権利があるよ
ベンは有頂天になり、チキチトに近いブラウンに決めるが
やはりロンドンの家に連れて行けない
祖父:子犬を近所にあげて、残ったら売る
毎週のように祖父は子犬がもらわれていくのを手紙に書いてきたが
ベンのブラウンだけは残してくれていた
母は娘のいる北ロンドンに家族で引っ越す計画をたてて、みんなで下見に行く
近くにハムステッド自然公園があり、犬を自由に放している人々を見て夢中になるベン
ベン:ぼく、あそこに住みたいな うつったら、ぼく犬が飼えるね?
一家は北ロンドンに引っ越した
ベンは祖父母の家に子犬をもらいに行くと、すっかり大きくなっていて驚く
ベンがチキチトと呼ぶと、名前はもうブラウンだから急に変えられないと言われる
電車で家まで運ぶ間、ずっと震えていて、チキチトはこんな臆病犬じゃないとイライラする
手にいれることのできないものは、どんなに欲しがってもムリなんだ
手の届くものを手にしないなら、なにも手に入らないと悟る
自然公園に連れて来るが、犬はベンを無視してうろつく
ベン:ブラウン! と呼ぶと喜んで飛びついてくる
■あとがき
フィリッパ・ピアス
1920年 イギリス生まれ
『セイ川のメダカ号』
『トムは真夜中の庭で』は戦後のイギリス児童文学の古典と言われる
本作はベンのような孤独な少年をうみだす近代社会のひずみを見事にとらえている
「心のかわき」に悩む子どもたちの心をとらえ、大人も熱心な読者にした
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【内容抜粋メモ】
登場人物
ブリューイット家
父 地下鉄で働いている
母リリー
ベン ロンドンのビッグベンにちなんで名づけられた
メイ、デイリス 姉
ポール、フランク 弟
チャーリー メイの婚約者
フィッチ祖父母
ティリー 飼い犬
ベンの誕生日に犬が欲しいと言って
フィッチおじいさんがくれると約束してくれたのを朝から楽しみで仕方ない
散歩から帰ると家族からのプレゼントが置いてある
祖父母からは1枚の絵が贈られてきた
亡くなったウィリー叔父のお土産で犬と手のステッチ
祖母の手紙の後に祖父の字で「犬のことほんとにごめよ」と書かれていた
文字を書くのがニガテで誤字になっているのが余計に悲しい
ベン:二度と祖父母の家に遊びに行くもんか
ベンは歳の近い姉2人、弟2人に挟まれた形でいつも孤立している
母はベンの気落ちを慰めるために、ステッチの手は飼い主の少女ではないかと言う
裏に「チキチト チワワ」と謎の文字が書いてあった
*
翌週、ベンは祖父母の家に泊まりに来た
道路工事をしていた祖父と関節炎の祖母の家にはティリーという犬がいる
祖父:お前にはほんとにすまないと思ってるよ
ベンはロンドンでは犬を飼えないのだと話す
祖父母の家は2軒の一方で、もう片方には若いパーキンス夫妻が住んでいて
よく面倒をみてくれている
祖母は家族みんなに敬られている
祖母:
私たちには21人孫がいる
その1人1人に1匹ずつ犬をくれることはできない
でも約束を誤魔化してはいけないね
ベンはティリーと一緒に散歩に出る
川で水浴びをしていると、子どもたちが犬のトビーと一緒に船に乗っているのを見る
トビーは2年前にティリーが生んだ子だと聞くと羨ましくて悲しくなる
「チキチト チワワ」の意味を聞くと、スペイン語でとても小さいチワワという意味
ベンは帰りの汽車の中に絵を置き忘れて、掃除夫がゴミと一緒に片付けてしまう
メイの婚約者チャーリーは建設会社に勤めていて、結婚後に住む家を北ロンドンに見つけて
デイリスも一緒に住むことになり、母は娘が2人も離れてしまうことが寂しく感じる
*
ベンは公共図書館で犬の専門書を借りて、チワワについて調べる
「食用に適す」と書いてあり、青ざめる
その夜、チワワとベンを太らせてから食べられる夢を見てうなされる
チワワは「ひどく臆病だ」と書いてあり、そんなはずはないと否定する
目を閉じるとチキチトが勇敢にロシアのオオカミの群れを追い出す様子がありありと浮かぶ
その日からベンは、家、学校、電車でも目を閉じてチキチトを想像するようになる
授業中もぼんやりしているベンを心配した先生が校長先生に報告し
母が呼ばれて注意される
わけを聞いても、チキチトのことは秘密にした
*
ロンドンは名物の霧が濃くなる
一家そろってのクリスマスは今年で最後のため、一緒に外食する
ベンは道を歩いていても目をつぶってチキチトのことを想像していたため
白髪の婦人が乗るクルマに轢かれて救急車で運ばれる
片足、あばら3本、鎖骨を折り、脳震盪を起こして
しばらく意識不明だったため、何度も母が名前を呼ぶ声に引き戻された
徐々に回復したため、メイは予定通り結婚式を挙げた
フィッチおじいさんがロンドンに出て来て、ベンを見舞いに来る
ティリーが妊娠していると聞くと、ベンは改めて犬が欲しくなる
だがやはり狭いロンドンでは犬を散歩させる所がない
退院して、祖父から9匹生まれたと手紙が来る
母と一緒に祖父母の家に来て、すっかり子犬の世話に夢中になる
毛の色に合わせて、それぞれに名前もつけてあげる
祖母:お前は子犬を1匹もらう権利があるよ
ベンは有頂天になり、チキチトに近いブラウンに決めるが
やはりロンドンの家に連れて行けない
祖父:子犬を近所にあげて、残ったら売る
毎週のように祖父は子犬がもらわれていくのを手紙に書いてきたが
ベンのブラウンだけは残してくれていた
母は娘のいる北ロンドンに家族で引っ越す計画をたてて、みんなで下見に行く
近くにハムステッド自然公園があり、犬を自由に放している人々を見て夢中になるベン
ベン:ぼく、あそこに住みたいな うつったら、ぼく犬が飼えるね?
一家は北ロンドンに引っ越した
ベンは祖父母の家に子犬をもらいに行くと、すっかり大きくなっていて驚く
ベンがチキチトと呼ぶと、名前はもうブラウンだから急に変えられないと言われる
電車で家まで運ぶ間、ずっと震えていて、チキチトはこんな臆病犬じゃないとイライラする
手にいれることのできないものは、どんなに欲しがってもムリなんだ
手の届くものを手にしないなら、なにも手に入らないと悟る
自然公園に連れて来るが、犬はベンを無視してうろつく
ベン:ブラウン! と呼ぶと喜んで飛びついてくる
■あとがき
フィリッパ・ピアス
1920年 イギリス生まれ
『セイ川のメダカ号』
『トムは真夜中の庭で』は戦後のイギリス児童文学の古典と言われる
本作はベンのような孤独な少年をうみだす近代社会のひずみを見事にとらえている
「心のかわき」に悩む子どもたちの心をとらえ、大人も熱心な読者にした