メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ブッデンブローク家の人びと 中 岩波文庫 赤帯 433-2 トーマス・マン/作 岩波書店

2024-11-03 15:05:16 | 
1969年初版 1997年 第27刷 望月市恵/訳

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します



商会の100周年を祝うお祭り騒ぎは、冒頭の木曜日の集まりと同じく一族の華やかな1ページを飾るが
トムが喧騒の中で死んじゃうんじゃないかってくらい異常な状態

その最中に来た電報の内容は語られないのが気になる
トーニがもってきた青田買いの話が大失敗したのでは?とハラハラする

誰も彼もトムにおんぶに抱っこで
歴史ある大会社がピラミッドの頂点にいる家主1人の肩にかかっているのも異常すぎる

弟クリスチアンが常にどこか患っているのも、家族の中で居場所がなく
商人の家に生まれながら商才がなく、芸術的な趣味を伸ばすこともなく
行き場のないストレスがたまってるからではないかという気がした

頼みの一人息子の継承者ヨハンは、母の影響で音楽に傾倒していく終わり方も商家には暗雲の予感

トーニの結婚はことごとく失敗に終わるし
一族を盛り上げようとする試みも完敗しそうな感じがする

完璧な家名と美貌なのに、なぜこんな人を選ぶ?ってツッコミたくなる
最初から上手くいきそうもない相手ばかり
家と家の結びつき重視の結婚てこんなものなのか?

その反動で娘の結婚生活にどっぷりハマるのもどうかと思うし
他の名作に出てくるヒロインと違って、子どもっぽいところや、感情がつい仕草や言葉に出たり
貴族趣味、地位、権力に弱く、ことごとく裏目に出ちゃう感じが人間臭くて、逆に魅力的


【内容抜粋メモ】(私的なメモ程度なので、間違ってる可能性大/汗

登場人物
ヨハン・ブッテンブローク 問屋商人
アントアネット 妻
コンズル 息子 共同経営者
エリザベート 息子嫁
トーマス 長男 トム
ゲルダ・アーヌルドセン 妻
ヨハン 息子 ハンノ
アントーニエ 長女 トーニ
アーロイス・ペルマネーダ ホップ商人 再婚
エーリカ トーニとグリューンリッヒの娘
ワインシェンク支配人
エリザベート 娘
クリスチアン 次男
クララ 次女
ジーヴァート・ティーブルティウス牧師 クララの夫
クロティルデ ヨハンの甥の娘
イーダ・ユングマン 乳母兼家庭教師
アントン 召使い

マルクス 支配人 共同経営者
ゴットホルト ヨハンの亡き前妻の息子 コンズルの腹違いの兄
レーブレヒト・クレーガー アントアネットの父 当世風の老紳士
ユストゥス 放蕩息子
グリューンリッヒ 代理業



遺言状を公表する日
エリザベートはクララの後見人をユストゥスに頼む
トムは支配人マルクスを共同経営者に向かえる

1856年
クリスチアンは芝居狂で、常に体のどこかが痛んだり、不快だと漏らす
トムは弟を支配人に雇い入れ、最初の数週間は機嫌よく働いていたが
すぐに飽きて、クラブなどに入りびたり、放蕩仲間とたわむれるようになる

ゴットホルト叔父が亡くなる

エリザベートは夫の影響でさらに信仰が強まり
朝夕の礼拝のほか、日曜学校を開き、「エルサレムの夕べ」と称した会で手芸などをするようになり
屋敷には毎日、牧師や怪し気な双子らが訪れ、トーニはあからさまに批判する

トーニ:
主よ、主よって口ぐせのように言ってる人間が必ずしも完全な人間とはいえないわ
たいがいの人間はインチキ師よ

18歳のクララはジーヴァート・ティーブルティウス牧師と結婚

トムはトーニの同級生ゲルダ・アーヌルドセンと結婚する
実家が大金持ちだって自慢してた子で、高慢ちきなトーニを嫌っていた
その持参金は10万ターラー ヴァイオリンを弾く趣味を持つ
新婚夫婦はトーニの見つけたブライテ通りの新居に住む

そして、トーニの初恋相手モルテンはドクトルになった
エーリカはどんどん父グリューンリッヒに似てくる→寄宿学校へ入れる

トーニは毎日が退屈で、再婚して兄の助け、一族の助けになりたいと切望している
ミュンヘンに旅行した際、ペルマネーダというホップ商人と出会い意気投合する

クリスチアンは嚥下障害、呼吸困難を訴え、ティーヴォリという女優の間に子どもまで作ってしまう
あちこちに借金もして、「商人はすべて詐欺師だ」と公言したことでトムがとうとうキレる
父の遺産の5万を渡して、ロンドンで独立することに賛成する

1857年
予想通りペルマネーダが屋敷を訪ねて来て、食事に呼ばれ、すすめられるままに滞在する
トムに向かって「親友、妹さんは素晴らしい“上玉”ですな!」て失礼極まりないな/汗
トムは早速身辺調査して、そこそこ儲けていると分かり、おぜん立てする

トーニはそのうち親戚の前で恥ずかしい思いをさせられるだろうと予測しながらも
散々迷った挙句、働き者に変えてみせると言い放ち、プロポーズに「イエス」と言う
持参金は再婚だから1万7000ターラー



トムは毎朝、理髪師ウェンツェルにヒゲを剃ってもらいながら政治などの話をするのが日課
狭い世界で有名になろうと野心を燃やす

クリスチアンは共同経営者が急死し、一気に商会は行き詰る
クララは酷い頭痛に悩まされやつれていく

トーニはミュンヘンでの暮らしがこれまでとあまりに違って戸惑いまくる
しかも、ペルマネーダはトーニの持参金が入ると会社を辞めてだらだらしてまったくアテが外れる
夫婦の間をとりもつはずの子どもも産まれてすぐに亡くなってしまう
“可哀想なトーニ!”

1859年
トーニはエーリカを連れて実家に帰り、母に泣きつく
ペルマネーダが酔って帰り、可愛い料理女のバベッテと浮気してる場面を見てしまった上に
夫を責めると、とんでもない暴言を浴びせられた

トムは酔った男の失態を笑って済ませば、今後、優位に立てるし
一族のスキャンダルにもならずにすむと説得(そりゃないよ・・・↓
トーニはミュンヘンに帰るつもりはないと断固拒否する

浮気はきっかけの1つで、結婚当初から自分の身分ゆえに冷遇されていて
実家より他で住むことはできないと分かったと明かす

弁護士ギーゼケに相談すると、夫の浮気だけでは離婚できないと言われる(!
トムがペルマネーダに手紙を書くと、意外にもあっさり離婚に同意し、持参金も返してくれた
離婚理由は「当事者間の越えがたい嫌悪」になる(それはありなんだ/驚
最後に、ペルマネーダの暴言は「犬ころに食われろ、売女!」だと分かる

1861年
トムとゲルダに待望の男児が生まれ、名前はヨハン
代父はユストゥスとウーヴァーディーク市長
代々的に洗礼式を行い、イーダとアントンは新居に移る

1862年
ジェームス・メレンドルブは糖尿病を患っていたため、家族から甘いものを食べるなと言われていたが
小さい部屋を借りて、好きなだけケーキなどを食べている時に亡くなった!

代わりの参事会員の座を巡り、37歳のトム、ヘルマンの間で選挙になり、トムが継ぐ

1863年
トムは10万を投じて新居を建てて、一家で引っ越す
向かいの花屋イーウァーセンの妻ってアンナか?!

トム:
『家が建てられると、死神が住まいする』て諺があるね
最後が始まった感じだね

クララが亡くなり、遺書のような手紙が母に届いて
自分の遺産12万マルクを夫にあげてほしいと頼まれて
トムに相談なく譲ったことがバレて激怒するトム

トム:ボクは無視され通しだ!
これも1つのきっかけに過ぎず、参事会員となってからは、妬みも多くストレスがかかっていたから

1867年
エーリカは20歳となり、トーニの事情から社交界と縁なく育ったが
好ましい結婚をして、家名を高めてくれるよう期待され
ワインシェンク支配人と結婚し、トーニは3度目の結婚生活のように世話を焼く

1868年
エーリカは女児エリザベートを出産

トーニはラルフ・フォン・マイボームが借金して3万5000マルクをトムから借りたいと伝える
土地からの収穫物ですぐに返せるという話をトムは断るが、考え抜いて支払うことにする

42歳のトムはすでに疲れきっていて、アントンに暇を出し、家ではひどく倹約していたが
これを初めての大仕事として賭ける



トーニは今年で商会が100周年になると気づいて、大きい祝賀会をやらないとダメだとトムをせかす
トムは次々とやって来る祝い客の相手をし、屋敷には楽団まできて大音量で演奏し
耐えられないほどの暑さなのに、急に雹が降ってカオス!!
電報を読んで「あれっぽちの雹で・・・」と絶句する



教会のオルガン奏者エトムントがピアノを弾き、ゲルダがヴァイオリンを弾く
ゲルダは現代音楽に心酔している
♪愛の死 『トリスタンとイゾルデ』

7歳になったハンノは2人の演奏を真剣に聴いて音楽の才能が目覚める
ゲルダはハンノにピアノを習わせる

1869年
8歳の誕生日を迎えたハンノは、一族の前で自作の幻想曲を披露する
トーニ:いまに第二のモーツァルトになるわよ!



コメント