メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

絵本『ロンパーちゃんとふうせん』 酒井駒子/さく・え 白泉社

2021-12-02 13:00:49 | 
「作家別」カテゴリー内に追加します


2003年初版 白泉社

これまでたくさんの絵本を読んできたけれども
こんなにシンプルで最後の最後に
必ず泣いてしまう
心の奥からほっこりする作家さんはなかなかいない

何冊か読んで気づいたけれども
私の心の奥の奥にいるインナーチャイルドが
心底喜んでいるのが分かる

酒井さんは挿絵だけでも活動しているけれども
絵も文も手掛けている本が一番好きだな







表紙にもある通り黄色がとても印象的
この前に読んだ本もやっぱり黄色が使われていたけれども
好きな色なんだろうか

これまで見た中で子供は出てきても
人間の大人の絵は出て来なかったから
ここで初めてお母さんの姿が描かれているのを見た

黒いヒールとスリットの入ったスカート
手提げのハンドバッグ
いかにもお母さんって感じの姿で描かれている

それほど古い本ではないのに
どのページももうあとちょっとで破れそうなくらい剥がれているのを見ると
この本もたくさんの子供たち、大人たちに読まれてきたことが分かる

ロンパーちゃんという名前のセンスも面白い

風船が飛んでいかないように
スプーンをくくりつけるお母さんのアイデアも素敵

その風船を相手に一緒に遊んだり
自分と同じように扱う子供の心が愛おしい

モノ一つ一つにもヒトと同じ魂が宿ってるって
子供は本能でわかってるんだな

水色の紐が所々切れているように描かれているのは意図的なんだろうか?
とってもラフな線でほとんど一筆書きのように描いた線に
柔らかい色が足されている

水彩絵の具にも見えるし
絵によっては黒地の上に厚塗りした
酒井さん独特の手法が見られる


【内容抜粋メモ】






ロンパーちゃんはお店で風船をもらった
飛んでいってしまわないように指にくくりつけてもらった
だから風船はちゃんとロンパーちゃんのお家に来れました

部屋の中で遊んでいると
天井まで飛んでいってしまう






そのたびにお母さんが呼ばれるから

やれやれ これじゃかなわない

お母さんは風船にスプーンをくくりつける









この風船浮いているのに飛んでいかない
飛んでいかないのに浮いている

これなら一緒に遊べる

ロンパーちゃんと風船は一緒にお庭で遊ぶ
綺麗な花の冠を作ってあげたり






ままごとをして
はい どうぞ いただきます
はい どうも ごちそうさま


ところが強い風が吹いて
風船は高い木の枝に絡まってしまう






お母さんは暗くなるまで頑張ったけれども
もう諦めましょう






諦めきれないロンパーちゃんは
ご飯もちっとも美味しくない






私、風船と一緒に食べる約束したのに
一緒に歯磨きして
布団で寝る約束をしたのに







分かった 分かった
明日になったら梯子を借りて
きっととってあげるから

本当に?

本当よ


やっと泣き止んで窓から外を見ると
ポツリとこう思ったの







ロンパーちゃんの風船は

おつきさん みたいよ…









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