かって父の遺品のなかで見つけて読んだ記憶である。人名その他は記憶で書いているので思い出せない。昭和天皇が幼年時代ジフテリアに罹病した時の経緯である。
まずジフテリアについてすこし触れなければないらない。現在は天然痘と同様絶滅宣言が出されているようだ。非常に危険な感染症で現在はシベリアの奥地で一部残っているという。
当時の主治医はドイツ帰りで開発されたばかりの血清を幼児の昭和天皇に注射しようとした。主治医の名前は忘却した。側近達が猛烈に反対した。玉体に牛の血を注入するのは何事だ、というわけである。
主治医は懐に短刀を呑んで失敗したら自殺するつもりで注射を強行したという。結果は歴史がしめすとおり、大成功であった。
なぜこの記事が今でも記憶に残っているかと言うと私も幼稚園時代ジフテリアにかかって東大病院に一週間か二週間入院した経験があるからである。