表題のドストの長編をだいぶ昔に英文で読んだが途中で投げ出した。最初の二十ページほど叙述がごたごたしていて頭にはいらなかった。今回光文社文庫で読みだしたが、やはり最初の二、三十ページの叙述が錯綜していてやはり頭に入らなかった。四、五回読み返したかな。ようやく検討がついて読み進んだ。あとは平坦な叙述になっている。ドストにしては、書き出しが整理していない。
以降はすらすらと抵抗なく読める。長編としては「死の家の記録」より二年ほど早い。「死の家の」がシベリア抑留後最初の長編と思っていたが、それより二年ほど早い。復帰第一作(長編では)らしい。この作品は最初いくつかの出版社から断られたらしいが最初の数十ページを読んだだけなら出版を断られるだろう。