前のアップから大分間が空いたので隙間埋めにひとつ。フランシス・アイルズの殺意(創元推理文庫)。感心したから投稿するというのではない。1931年発表の名のある古典だから、未読であったが購入した。
創元社の文庫は活字が小さいので読まないことにしているが、読む本がないのでピックアップした。いずれにせよ、なんというのかな、倒叙法というのかな、いずれにしろ名高い本なので、手を出した。
女房に押さえつけられた田舎医者が、恋愛相手、不倫、と結婚するために権高の女房を殺すという話だが、なかなか事件が起きない。医者だけに毒殺する方法の思いつくまでに、二百ページも進む。
ここまではなんとか読ます。しかしその後が良くない。叙述が整わない。急速に質が落ちる。
それから勢いがついたのか、第二の毒殺を計画する。そしてこの事件からほころびが出て裁判になり死刑になるという話だ。後半はまったく興趣がなくなる。
私の基準からいうとB級ないしC級の小説である。この作者は医者なのか、薬剤師なのか。そのへんは判断できないが、専門家めいた退屈な叙述が長すぎる。