このブログでは「小説ときどき哲学書」となっているが、大分小説ばかりやっていたので久しぶりにカント「判断力批判」。
カントの最晩年に出されたものだが、そのせいかどうか、くどい繰り返しが多いね。まだ序論と第一序論しか読んでいない。とはいっても全体の四分の一くらいになる。
翻訳書でしか読めないので、昨年出た熊野純彦氏の訳で読んでいる。いま新刊書店で手に入るのは三種類らしい。熊野氏の訳を選んだ理由は活字が大きいという、それだけである。岩波文庫青帯で上下二巻があるが、細字である。あと、大きな活字では上下二冊になったものがあるようだが、これは書店で上巻だとか下巻だとかだけでそろって入手できない。で熊野氏におちついた。英訳でもいいのだが、インターネットで探したが見つからなかった。
読んでいて、おかしいなと思う所が結構ある。正しい訳かどうかというのは原文と参照出来ないから分からないが、日本語の文章として妙なところがおおい。また訳語に、これはなんだ、というものがある。
そう言う時には別の翻訳と参照することにしているので、今回は岩波文庫を買った。これは初版が半世紀前である。細字だから通読するのではなくて、熊野訳で引っかかる所をチェックするためである。いちいち例を挙げると煩雑な思いをさせるだけだろうが、あきらかに岩波文庫の方が抵抗無く読める。
若い学生諸君でまだ眼のいい人には岩波文庫をすすめる。