19世紀後半の『哲学者』にエドウワルト・ハルトマンというのがいる。
森鴎外が19世紀は鉄道とハルトマンの無意識の哲学をもたらした、と言ったとか。孫読みだからどこで言ったのか分からないが。
ニーチェがどこかで口をきわめてハルトマンを罵っていた。ニーチェは例によって理由を言わないから何故だか分からない。
そんでもって、前から気になっていたのだ。少し詳しい哲学史の本には必ず名前が出ている。解説が二、三行ついて。それを読んでも何を言っているのか分からない。
なお、別のハルトマンという有名な人物もいる。ここで言っているのはE・ハルトマンであるから念のため。
とにかく、19世紀の後半欧州の人気をさらった著作らしい。フランスの象徴派の詩人たちにも多大の影響を与えたというが、今では彼の著作はおろか解説書も皆無である。
しょうがないからOgdenの英訳書を取り寄せた。物好きなものだ。ニーチェは通俗哲学と罵っていたかな。森鴎外も通俗人気本に惑わされたか。
分厚い本でまず驚いた。ざっと読んでみるとどうも取り留めが無い。どこに肝があるのか分からない。これじゃ要約する方も大変には違いない。
最初の方を眺めると、当時の最先端科学、進化論、生理学、心理学、生物学から理屈をひねり出そうとしているようにも見える。
勿論先行するドイツ観念論者各位の説もぶちこんで折衷している。
現代でも通俗、啓蒙本でよく見られる手法のようにも思われる。誰かが帰納法的形而上学と言っていなかったかな。そんな手法があるのかどうか知らないが。こういう本は科学が進歩するとその度に理論を改訂しないといけない。現に無意識の哲学は頻繁に改訂が行われている。
記述にも首を傾げる箇所が多い。最初は翻訳がひどいのかな、と思った。
&: 鴎外は明治20年代の没理想論争とかいうので、ハルトマンを援用したらしい。そのせいか、インターネットでわずかに散見する記事は文学、評論家のものだ。哲学者の論文はないようだ(ようだ、と言っておこう、安全サイドをとって)。
どうもそれも彼の別の美学上の著書を援用したらしい。しかもシュヴェーグラーの哲学史の拾い読みらしい。また、たまたまヒットした文学専攻大学教師の論文も『無意識の哲学」原典に当たった形跡はない。
E.Hartmanは評論活動を盛んにしたようで、其の分野でのジャーナリステイックな活躍が一般の人気の秘密だったんじゃないかな。
森鴎外が19世紀は鉄道とハルトマンの無意識の哲学をもたらした、と言ったとか。孫読みだからどこで言ったのか分からないが。
ニーチェがどこかで口をきわめてハルトマンを罵っていた。ニーチェは例によって理由を言わないから何故だか分からない。
そんでもって、前から気になっていたのだ。少し詳しい哲学史の本には必ず名前が出ている。解説が二、三行ついて。それを読んでも何を言っているのか分からない。
なお、別のハルトマンという有名な人物もいる。ここで言っているのはE・ハルトマンであるから念のため。
とにかく、19世紀の後半欧州の人気をさらった著作らしい。フランスの象徴派の詩人たちにも多大の影響を与えたというが、今では彼の著作はおろか解説書も皆無である。
しょうがないからOgdenの英訳書を取り寄せた。物好きなものだ。ニーチェは通俗哲学と罵っていたかな。森鴎外も通俗人気本に惑わされたか。
分厚い本でまず驚いた。ざっと読んでみるとどうも取り留めが無い。どこに肝があるのか分からない。これじゃ要約する方も大変には違いない。
最初の方を眺めると、当時の最先端科学、進化論、生理学、心理学、生物学から理屈をひねり出そうとしているようにも見える。
勿論先行するドイツ観念論者各位の説もぶちこんで折衷している。
現代でも通俗、啓蒙本でよく見られる手法のようにも思われる。誰かが帰納法的形而上学と言っていなかったかな。そんな手法があるのかどうか知らないが。こういう本は科学が進歩するとその度に理論を改訂しないといけない。現に無意識の哲学は頻繁に改訂が行われている。
記述にも首を傾げる箇所が多い。最初は翻訳がひどいのかな、と思った。
&: 鴎外は明治20年代の没理想論争とかいうので、ハルトマンを援用したらしい。そのせいか、インターネットでわずかに散見する記事は文学、評論家のものだ。哲学者の論文はないようだ(ようだ、と言っておこう、安全サイドをとって)。
どうもそれも彼の別の美学上の著書を援用したらしい。しかもシュヴェーグラーの哲学史の拾い読みらしい。また、たまたまヒットした文学専攻大学教師の論文も『無意識の哲学」原典に当たった形跡はない。
E.Hartmanは評論活動を盛んにしたようで、其の分野でのジャーナリステイックな活躍が一般の人気の秘密だったんじゃないかな。