以上「半落ち」をめぐるアップをしてきたが、趣旨は北方氏のいささかピントの外れた批判に対する批判であって、横山秀夫作品全体に対する評価ではない。作品の質と言うことに関しては「半落ち」は彼の作品のなかでは高いと言えよう。前にも述べたがクライマースハイはそれほどでもない。
ちょっと、気になったので若干ほかの作品にも目を通したが、半落ちレベルの作品はないようだ。短編で何やら賞を得たという「影の季節」と「動機」を読んでみたが、こんな作品でも賞が貰えるんだ、という感想だ。乱暴な飛びが多すぎる。意図的な飛びで一定の効果があるならいいが、そうではないと思った。
また、「64」を10ページほど読んだが、叙述が混濁しているね。意図的にそう書いているかどうかは知らないが、とても読み続ける気がしない。
ところで林真理子のふるまいの背景には嫉妬があるのではないか、と感じたが、彼のそれまでの作品が「それほどでもない」のに次々と賞を獲得することに対する嫉妬がああいう言動になったようだ。しかし、北方氏の言動に喜んで賛同するのはいただけない。