穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

本はストック財か

2014-02-27 08:13:58 | 書評

一概には言えない。大部分は私の前を流れていくフローであり、チリであり、芥(アクタ)であり、泡であり、あぶくである。

出版屋は不動産屋と同じで口車がうまいからな。それに値段が安直だ。ついつい買わされて粗大ごみとなる。

粗大ごみの処理は古本屋に任せられない。古本屋は零細商店の典型だし、自己の利益が目的である。慈善事業をする気はない。

出版業界団体がリサイクル事業に乗り出すべきだ。採算を度外視して(といっても大して金のかかることではない、顧客から金をとればいいし、廃棄施設、技術を彼らはすでにもっている。新たな設備投資は必要ではない)。カツカツの採算レベルにもっていくのは容易であろう。

パソコンのリサイクル事業とおなじである。自治体の清掃事務所は引き取ってくれないしな。

そういえば、芥川竜之介は割下水(地表にむき出しに掘られた下水道)のあたりに祖先が住んでいたんだろうな。本所には二流れ割下水があったそうだから。

とにかく、古新聞にリサイクルがあって、本にないのは片手落ちである。


Yondaゼ

2014-02-08 19:55:16 | 書評

12月中旬から読み始めた「風と共に去りぬ」読み終わりました。one sittinng 10ページか20ページのペースですからふたつきほどかかりました。

感想ですか、「感銘を受けました」はどうでしょうか。文学少女の読書感想文みたいで恥ずかしいですね。「読み応えがありました」、そう、これだな。腹持ちのいい食事をした後のようです。

前にも書いたが、南北戦争後、進駐軍に民主化されて黒人の副知事まで出来たのに、やがて「逆コース」が始まって、つい何年か前までは黒人はバスにも乗れず(白人用の)、トイレも別、レストランにも入れず、白人の学校にも行けないような状態が百年以上も続いたわけだが、この「逆コース」の過程が知りたいものです。

力作、大作です。筆致は華麗で緻密です。スカーレットは極端に誇張して描かれているように見えるが、案外女というものは一皮むけば、こんなのが多いのかもしれないと思わせる説得力があります。

彼女の性格をくっきりと見せるために、反射板としてアシュレとかバトラーがいるわけですが、こちらのほうは、私の用語でいえば「操作子」的です(前出の私のドストエフスキー「白痴」論を参照)。


私はあなたみたいに一生懸命生きる人が好きよ

2014-02-01 00:03:46 | 書評

とフオンティン老夫人がスカーレットに言ったかどうか。まだ出てこない。しかし彼女が言いそうなことである。

自分の欲望に正直で手段を選ばない主人公が言いそうなことである。

ここで「風と共に去りぬ」の惹句を考えてみた。

「毒婦の深情け」 出版屋が反対するだろうな。

「毒婦の純情」 これもだめだろうな。

そこでファンティン夫人に「あなたみたいに一生懸命に生きる人が好きよ」と言わせてみたらどうだろう。