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疲れた時に甘い物が欲しくなるのは、今も昔も変わらない生理的な現
象らしい。
東海道を歩き、ようやく宿場に辿り着き、宿内で和菓子屋などの甘味処
を見付けると、ついつい足が向いてしまう。
元々甘味が好きも有るが、疲れた身体がそれを求めているからだ。
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店の名物、売れ筋を尋ね、ばら売りがあれば一つ二つ買い求め、断り
を入れた上で、その店先で頂いてみる。すると求めたわけではないのに
多くの場合、有りがたいことにごく普通にお茶の接待をしてくれる。
当然お菓子を頂きながら話も弾むし、身体を休息させることが出来、
何よりも甘味は次の歩きへの活力となる。
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昔ならこうした役割を担うのは、さしずめ茶店と言った処だ。
旅人が身体を休めると同時に、当時は餡を包んだ「桜餅」「かしわ餅」
「よもぎ餅」や、「ぼた餅」「おはぎ」、また餡やきな粉をまぶした団
子など、飲み物ならお茶や白湯、甘酒が提供されていたようだ。
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ところで「小豆」は植物繊維が豊富で、体内環境を整える、甘党には
嬉しい作用があるそうだ。またポリフェノールは、赤ワインの約2倍も
あり、健康バランスを整えるサポニン、カリウム、ビタミン類(B2や
B6)も多い。
意外なことに鉄分は、ほうれん草の倍近くも含んでいるという。
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餅の元となる米、餡の元となる小豆等を合わせて食べることで、必須
アミノ酸の値が揃い、パワーを生み出す源となる。
特に「よもぎ餅」に搗き込むヨモギは、鉄分の多い植物である。
これらは歩き疲れたときの好適品となり、当時の人々は、こうした食
品のバランスの良い組合せを、経験的に知っていたのであろう。(続)
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