「思い出の引き出しを開ける依代(よりしろ)」は、旅ならやはり
写真である。これなら何時眺めても、その時の光景が一瞬のうちにま
ざまざと蘇ってくる。
だから旅には、必ずコンパクトデジカメを持参する。
予備カードと充電ケーブルさえ忘れなければ、際限なく撮り溜が出来
るから重宝している。
しかし一人旅が多いので、風景写真は多いものの、自身の記録となる
と極めて少ない。そんな状況を打開するために、旅先では可能な限り妙
齢な女性の、複数連れを見つけお願いする。
これは若い人や、一人だと変に警戒されてしまうし、どうせお願いする
のなら、男性よりは女性、年寄りよりは若い方がいいに決まっている。
老人は「シャッターはどれ?」とか、「どこを押せば良いの?」とか、
不安なのかやたらに説明を求めてくるから正直面倒くさい。
また「あんたが・・、」「○○ちゃん、どう?」とか、やたら譲り合う。
その点若い人は良い。一様にメカに強く、いちいちカメラの説明がいら
ないし、それ以上に構図のセンスの良さである。
「写真・・・、お願いしても良いですか・・・?」
恐る恐る近づくが大抵の場合にっこり微笑んで、直ぐにカメラを受け取っ
てくれる。それどころか、「ハイ、チーズ!!」などと声を掛けてくれる
ものだから、こちらは嬉しくなって、醜い顔を更に思いっきり崩して、V
サインなどをしてカメラに収まってみる。
心優しい大和撫子は、これだけでは終わらない。
「撮れていますか?」と心配し、確認を促してくる。液晶を覗きこんで、
「アッ大丈夫ですありがとう」と礼を言うのもそれはそれで楽しいものだ。
こんな時「どちらから?」等と、僅かな会話を交わしたりもする。
時に、一人旅にはこんな楽しみも待っている。(続)
(写真:博物館明治村 本文とは無関係)
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